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モンスター・中国の世界的脅威と日本がすべきこと

かつて鄧小平の改革開放に期待した世界的経済学者コルナイ・ヤーノシュは今、何を思う

吉岡桂子 朝日新聞編集委員

日本は対中国の規制を練り上げよ

――中国の体制がこのまま続くかどうか、結論は出ていないということですね。ですが、中国は経済力を駆使して、自らの体制を「輸出」しているようにもみえます。たとえば、権威主義的な政権が続くカンボジアに対して、EUが経済制裁をしても、その穴を埋めるように中国が資金援助します。ハンガリーのオルバン政権に対しても、中国は同様の動きをしています。

拡大コルナイ・ヤーノシュ氏=ハンガリー・ブタペストの自宅で
 カンボジアについては私は知りませんが、中国がハンガリーと関係を深めている狙いは明らかです。中国が世界の覇権を獲得するように動くために、ハンガリーは使い勝手がいい。EUのメンバーであるハンガリーを動かすことを通じて、中国は間接的に欧州クラブの一員になれる。ハンガリーと中国の高官は偏狭で非民主的な政治体制をたたえあい、他の体制は両国において機能せず、入りこめやしないと強調しあっています。

 米国は、中国と他の国々、EUなどの共同体との関係を規定できるほどの力はありません。そもそもEUは国々の連合体ですから、それぞれの国ごとに対中政策を持っています。

 日本についていえば、中国の成長を邪魔しようとはしないほうがいい。しかし、その一方で対中国への規制を注意深く練り上げるべきでしょう。野心の膨張に資するような関係はブロックすべきです。たとえば、軍事目的に使われるモノを製造したりサービスを提供したりする中国企業に、日本は投資すべきではない。中国人留学生を受け入れるのはいいですが、サイバーをふくむ武器作りにつながるような講義には参加を許すべきでないと思います。

心配な中国の指導者の野心

――これからの30年をどうみますか。

 現在の中国の指導者たちの野心は、世界でヘゲモニーを握る地位を占めることです。私は「予言者」ではないので、そのゴールが実現されるかどうかは分かりません。

 ただ私は、彼らのもくろみが失敗し、世界に根を張っている民主主義が崩れてしまわないことを祈っています。

拡大中国製品を売買する「商城」に設けられた中国風の門。貿易に携わる中国人は1990年からハンガリーに根を張る。近年は「一帯一路」戦略で中国国有企業が鉄道などインフラ建設にも関わるようになった=2018年12月4日、ブダペスト、吉岡桂子撮影

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筆者

吉岡桂子

吉岡桂子(よしおか・けいこ) 朝日新聞編集委員

1964年生まれ。1989年に朝日新聞に入社。上海、北京特派員などを経て、2017年6月からアジア総局(バンコク)駐在。毎週木曜日朝刊のザ・コラムの筆者の一人。中国や日中関係について、様々な視座からウォッチ。現場や対話を大事に、ときに道草もしながら、テーマを追いかけます。鉄道を筆頭に、乗り物が好き。バンコクに赴任する際も、北京~ハノイは鉄路で行きました。近著に『人民元の興亡 毛沢東・鄧小平・習近平が見た夢』(https://www.amazon.co.jp/dp/4093897719)

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