メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

女児虐待事件の現場、鹿児島へ

9月5日(木) 朝日新聞に日産の西川CEOの株価連動報酬の「不正」取得の件が出ているではないか。驚いた。「週刊現代」のコラム原稿を書く。

 朝、7時40分の便で鹿児島へ。危うく乗り遅れそうになる。ターミナルビル内を走った。ちょっと眠い。機内で眠る。午前9時半に鹿児島着。そのまま、KディレクターとMカメラマンらと出水市へ車で移動。1時間半の道行き。若い母親の女児が同居人の男性に暴行され死亡した事件の現場へ。

 事件の発生は8月27日。出水市のそのアパートは周りが穂をたわわに実らせた田んぼに囲まれている。のどかな場所だ。湧水があってタニシが大量発生していた。トンボが飛び交っている。お天気がいい。日差しがとても強い。逃げ場がない屋外なのでジリジリ日焼けしていくのがわかる。若い母親と4歳の女児は7月に薩摩川内市から引っ越してきてこのアパートに住んでいたとのこと。同居している男は21歳の建築作業員。近所の人々もほとんど付き合いさえない。

大塚璃愛來ちゃんと母親、日渡駿容疑者の3人が同居していたとみられるアパート=2019年9月1日午後0時23分、鹿児島県出水市拡大鹿児島県出水市の女児虐待事件で、母親と男性容疑者の3人が同居していたとみられるアパート

 行政機関の出水市役所に赴く。担当者が取材に応じたが「ネグレクト案件を薩摩川内市から引き継いだ」とそっけない。薩摩川内で、すでに女児からはSOSの強い兆候が発せられていた。母親のネグレクトも把握されていた。その後、出水市には病院から女児のあざの報告も届いていたはずだ。引っ越しにともなう行政、児童相談所、警察などの連携の悪さ。

 薩摩川内市に移動して、以前の住まいのアパートの近隣を取材して回る。すぐ近くの高齢者向けのケア施設の看護師さん(女性)から話を聞くことができた。死亡した4歳の女児は夕刻、自宅からひとり屋外に出て「ママ、ママ」と泣いていたことがたびたびあったという。不憫に思って施設に何度か保護した。ジュースを飲ませたりしたという。そこに母親が迎えに来て、それ以上は突っ込んで介入しなかったと悔やんでいた。若い母親はいわゆる「ラウンジ」で働いて生活費を稼いでいたようだ。薩摩川内には原発作業員が多くいて、それなりに水商売が栄えている。僕らが投宿したビジネスホテルも原発作業員らしき人たちが多く宿泊していた。

 地元MBC(南日本放送)のOさんに連絡して遅い夕食にお付き合いしていただいた。さすがに非常に細かく取材をされていた。話が弾んで、気象庁の限界やら三島由紀夫のことまで2時間あまり、脈絡なく話を続けた。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

金平茂紀の記事

もっと見る