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日韓関係を修復するための4つの提言

韓国はどこへ行くのか?日本は何をすべきか?

登 誠一郎 元内閣外政審議室長

2.東アジアの安全保障構図の変化を懸念

 日韓の双方において国内情勢がそのように進展することは、民主主義社会における国民の支持に基づくものである以上、国民はそれを受け入れざるを得ないという考え方は当然あり得る。

 しかし東アジアの安全保障環境を俯瞰すると、日本にとって全く好ましくない状況が醸成される可能性が強い。

 現在の東アジアの安全保障は、「日米韓」と「中露北」の均衡による相互抑止が働くというものである。しかるに文大統領の究極の目標は、南北統一による主体性の回復であるが、北朝鮮が平和的に非核化を実施する可能性はまずゼロと考えざるを得ないので、核保有国としての統一朝鮮の実現が現実味を帯びてくる。

 韓国の歴史を改めて見ると、14世紀末に李成桂が高麗にかわって朝鮮半島を統一して李王朝を建設して以来、500年にもわたる明、清への冊封による属国化、その後の日本による併合、さらに日本の敗戦による南北分裂という歴史を通じて、真の独立と統一を実現できなかったところ、やっとその悲願の達成に向かってしゃにむに突き進む時期が来たと判断しているのであろう。そして安全保障の新たな構図として、核兵器に守られた3極、すなわち「日米」「中露」および「統一朝鮮」の並立を描いているのであろう。

 しかし北朝鮮が保有する核兵器及びその運搬手段を温存したままでの南北統一では、新国家の骨格に金正恩ほかの北の支配層とその思想が残ることは避けられないのである。文大統領はこれにより、統一朝鮮を、核についての主体性のない日本よりも上位に位置付けんとしているとも読み取れる。日本としては、中国、ロシア、統一朝鮮という3つの核保有国に囲まれるという構図は恐ろしい悪夢である。これは何としても妨げなければならない。

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筆者

登 誠一郎

登 誠一郎(のぼる・せいいちろう) 元内閣外政審議室長

兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、外務省入省(1965)、駐米公使(1990)、ロサンジェルス総領事(1994)、外務省中近東アフリカ局長(1996)、内閣外政審議室長(1998)、ジュネーブ軍縮大使(2000)、OECD大使(2002)を歴任後、2005年に退官。以後、インバウンド分野にて活動。日本政府観光局理事を経て、現在、日本コングレス・コンベンション・ビューロー副会長、安保政策研究会理事。外交問題および観光分野に関して、朝日新聞「私の視点」、毎日新聞「発言」その他複数のメディアに掲載された論評多数。

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