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トランプ弾劾審議の源流はバイデン父子の腐敗問題

ウクライナ危機下のバイデン父子の動きを追うと見えてくる不都合な事実

塩原俊彦 高知大学准教授

検事総長解任に動いたジョー・バイデン

 実は、ハンターがブリスマの取締役になった2014年4月(2019年4月退任)ころ、英国当局は資金洗浄の容疑で、ブリスマの事実上のオーナー、ズロチェフスキーに属するとみられる2300万ドルが預金された銀行口座を凍結した。しかし、当時のウクライナの検事総局は、英国側から要請された文書を英国の経済犯罪捜査にあたっている部署に提供しなかった。それどころか、駐ウクライナ米国大使が明らかにしたところでは、ウクライナの検事総局はズロチェフスキーの弁護士に事件にしない旨の手紙まで送っていたという。

 こうしたウクライナ側の非協力のために、2015年1月、この口座の差し止めは解かれ、資金はタックスヘイブン(租税回避地)のキプロスに流出した。

 当時のウクライナの検事総長に代わって、2015年2月に、ヴィクトル・ショーキンが検事総長に就くと、彼はブリスマのハンターやアーチャーを含めた取締役全員の捜査に乗り出す計画を進めた。ところが、2016年3月29日、当時のペトロ・ポロシェンコ大統領は突然、検事総長解任を命じるのである。その背後には、ハンターの父、ジョー・バイデンがいた。ショーキンを解任しなければ、米国は支援をしないと脅したのだ。しかも、それをバイデン自身が公然と認めている(ロシア語新聞「ノーヴァヤガゼータ」2019年No. 46)。

 といっても、ショーキンはヤヌコヴィッチや新興財閥寄りで、腐敗が疑われる複数の人物を立件しようとしないから、改革を求める米国政府が圧力をかけただけとの情報もある。ショーキンに代わって検事総長になったユーリー・ルツェンコは、後に公的にブリスマは捜査の対象ではなく、バイデン父子の不法行為はなかったとした。ただし、このルツェンコの発言が本当かどうかはわかっていない。

拡大選挙集会で演説するバイデン前副大統領=2019年5月18日、米ペンシルベニア州フィラデルフィア

道義的・倫理的責任は大きいバイデン父子

 ハンターにはまだまだよからぬ話がある。

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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