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米民主党の「悪辣さ」を忘れずに

トランプ弾劾審議の裏の権力闘争

塩原俊彦 高知大学准教授

フェイク文書の陰に民主党

 スティールを雇ったのは、米ワシントンDCにある政治調査会社、Fusion GPSだ。同社は2016年6月、トランプのロシアとの関係を調査するためにスティールを雇った。ニューヨーク・タイムズが2017年1月11日にアップロードした記事によれば、ヒラリー・クリントンを支援する民主党の顧客がこのためにFusion GPSにカネを支払いいはじめたのである。

拡大トランプ米大統領=2019年6月18日、米フロリダ州

 その結果、スティールはその「期待」に沿った内容の報告を英国にいたまま、送ってきたというわけなのだ。しかし、そんなことが可能かとラティニナは疑問視している。スティールは当然、調査結果をメモにして顧客に渡した。しかし、後になって、その情報は連邦捜査局(FBI)やニューヨークタイムズ(NYT)記者などに洩れた。それが、上記のURLで入手可能な35ページの文書ということになる。

 もちろん、その内容の真偽が不明確な以上、NYTをはじめとする「まとも」なマスメディアはこの情報をすぐに報道するはなかった。しかし、どこの国にも功名心やカネのために動機づけられた輩がいる。2016年10月末、Mother Jonesという雑誌がスティールを匿名にして、トランプのスキャンダルを報道した。まさに、大統領選の直前のことだった。もちろん、「確認」がとれないままだ。つまり、民主党にとってきわめて有利な
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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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