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米中摩擦で加速?アメリカでの東アジア人差別

米国人に潜在的な恐怖感を与える中国の躍進。日中韓でいがみ合っている場合ではない

酒井吉廣 中部大学経営情報学部教授

染みつく「白人優位」の関係

 東京や香港のブランド・ショップでは我がもの顔にふるまう中国人も、パリのブティックでは横柄さが影を潜めている。普通の白人以上に横柄な雰囲気はあるものの、大声で話すとか、順番に関係なく展示品を見たいと要求することはあまりない。

 以前、ニューヨークのブティックで、フランス人と思しき店長らしき人が、マナーの悪いアジア人顧客に対して、注意を喚起した光景を見たことがある。親と子、ないしは先生と生徒的な関係が染みついている印象がした。

 また、アメリカで禁止される差別用語に、アジア人に対するそれは含まれていない。

 たとえば、黒人自身や黒人の肌の色を表す単語だった「ニグロ」は、今では禁止用語であり、使うこと自体が大問題となる。「ブラック」は禁止用語ではなく隠語だが、ミシェル・オバマがベストセラーの自著「マイ・ストーリー」で自分をブラックと呼んでいるものの、使う人と使い方によっては問題となる。

 「I am Black and beautiful」とマーチン・ルーサー・キング・ジュニアは語ったが、それは白人への反発の象徴だからであり、アメリカはこうした言葉が普通に使われる社会ではない。

 これに対し、「イエロー」はそうではない。さすがにアジア人が露骨にそう呼ばれたら差別用語と言えるが、そうでない限り、あまり問題にはならない。ただ、そうした「緩さ」があるがゆえに、「Eternal Discrimination」が続いているという指摘もある。

中国人や朝鮮人より嫌われる日本人

拡大esfera/shutterstock.com

 なかでも日本人は、第2次世界大戦で米国人と戦い、世界で唯一、アメリカを爆撃した国の国民なので、ベテラン(退役軍人)やその家族に嫌われている例が少なくない。それが他にも伝播しているという実態が、戦後70年以上を経過した今でも根強く存在しているのも事実である。筆者も、自分の手術の担当医が日本人だと知り、嫌だから代えてくれと言った米国人の例を聞いたことがある。

 多くの日本人が、英語やフランス語の発音がうまくないことも、馬鹿にされ易い理由である。なぜ、日本人は発音がうまくならないのか。中国の語学大学の教授からこんな話を聞いたことがある。

 幕末から明治にかけて、日本に入ってきた英語の単語を、日本人は「カタカナ読み」で習得した。そのせいで、逆に英語の発音がおざなりになった。中国人の英語発音が日本人より綺麗なのは、中国にはそれがないからである――。

 語学大学の教授が言うのだから、間違いないだろう。

 くわえて、日本には、いわゆる「バブル」の頃に日本企業がアメリカに進出し、ロックフェラー・センターやエンパイア・ステートビルなどの一流不動産や、米国の有名企業を買い漁った歴史がある。

 米国人の一般的な思いとして、日本は第2次世界大戦時に中国に進出して可哀そうな中国人を虐殺したうえ、あのヒトラーと組んで、日ロ戦争などで支援したアメリカを裏切って真珠湾を不意打ちした国、という怒りが潜在的に残っているという話も、筆者は何度も耳にした。

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筆者

酒井吉廣

酒井吉廣(さかい・よしひろ) 中部大学経営情報学部教授

1985年日本銀行入行。金融市場調節、大手行の海外拠点考査を担当の後、信用機構室調査役。2000年より米国野村証券シニア・エグゼクティブ・アドバイザー、日本政策投資銀行シニアエコノミスト。この間、2000年より米国AEI研究員、2002年よりCSIS非常勤研究員、2012年より青山学院大学院経済研究科講師、中国清華大学高級研究員。日米中の企業の顧問等も務める。ニューヨーク大学MBA、ボストン大学犯罪学修士。

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