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公開文書が不開示! 外務省の噓を生んだ闇

「安全保障や外交に支障」のまやかし 意識改革と態勢強化が急務

藤田直央 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

2年4カ月の紆余曲折

 私は2017年3月、朝日新聞社として外務省に文書開示請求をした。対象は、1968年の日米安全保障高級事務レベル協議(SSC)に関する文書だ。SSCは今も続く日米の外交・防衛担当高官による非公開の協議の場で、私はその源流であるSSC発足当時の1960年代後半の協議に関心があった。

 当時は、中国の核開発やベトナム戦争の長期化などアジアで安全保障上の懸案が絡み合う一方、日本は高度経済成長期にあり沖縄返還を求めていた。SSCは、米国にとっては日本にアジアの安全保障でより広い役割を促す場、日本にとっては米国に核戦略や沖縄をめぐる突っ込んだ話を望む場として動き出していた。

 2001年施行の情報公開法は政府の各機関に対し、文書開示請求を受けてから原則30日以内に開示・不開示を決めるよう定めるが、特例として「相当の期間」まで延長できる。私の請求に対し外務省の決定が出そろったのは3カ月半後の2017年7月。対象文書計47点のうち「部分開示」とされた4点に、趣旨がわからなくなるほど多くの墨塗りがあった。

 その理由は、そこを明かせば「国の安全が害される」「他国との信頼関係が損なわれる」などの「おそれ」があるといった、情報公開法上の不開示事由にあてはまるというものだった。

拡大朝日新聞社が2017年に開示請求をした1968年の日米安保協議に関する文書について、外務省が一部を不開示とした理由を示す文書
拡大2017年に朝日新聞社が1968年の日米安保協議に関する文書を開示請求したのに対し、外務省が半分ほどを墨塗りにして出した「沖縄返還問題の進め方」

 決定に請求者が不服の場合は、総務省の情報公開・個人情報保護審査会に審査を求めることができる。私は2017年9月に「約50年前の文書を全て開示しても外務省の言うような『おそれ』はありえない」として審査を請求。外務省は10月に審査会に対し「対象文書の不開示事由の該当性を厳正に審査した」と反論した。

 審査結果は請求から1年9カ月後の今年6月に出た。審査会は、外務省が「部分開示」とした文書4点の不開示範囲は広すぎるとして、2点は全て開示し、2点は開示範囲を広げるよう求めた。

拡大2017年の朝日新聞社の文書開示請求に対する外務省の部分開示決定について、開示範囲を広げるよう求めた総務省の情報公開・個人情報保護審査会の答申書。赤線は藤田が記入

 外務省はこれに沿って今年8月に私に文書を追加開示。全て開示となった2点のうちの一つが、当初は外務省が半分ほど墨塗りにしながら、タイトルと日付は出していた5ページの「沖縄返還問題の進め方について」だった。それを信夫氏に示したところ、2010年から外務省が公開しているのと同じ中身ですよと教えられたというわけだ。

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筆者

藤田直央

藤田直央(ふじた・なおたか) 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

1972年生まれ。京都大学法学部卒。朝日新聞で主に政治部に所属。米ハーバード大学客員研究員、那覇総局員、外交・防衛担当キャップなどを経て2019年から現職。著書に北朝鮮問題での『エスカレーション』(岩波書店)、日独で取材した『ナショナリズムを陶冶する』(朝日新聞出版)

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