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風味まろやか、ベトナムお好み焼き

 この日腕をふるってくださったのは、エビと牛肉入りベトナムお好み焼き「バインセオトムティッツ」、レア牛肉入りの平打ちライスヌードル「フォー・ボータイ」、豚肉の香味焼きと生野菜、冷やしビーフンに、特製の甘酸っぱいフィッシュソースをかけた「ブンティッツヌオン」の3品だ。

 お好み焼きは米粉をターメリックで色づけているため、見た目は卵焼きのようなキツネ色をしている。パリッとした皮の下には牛肉、エビと共に、もやしのシャキシャキとした食感が待っていた。ほんのりただようココナッツの風味がまろやかだ。

拡大絶妙の火加減で仕上げるお好み焼きから、ココナッツの優しい香りもただよう

 「フォーボータイ」はもっちりとした麺の上にレア牛肉をのせ、その上から熱々のスープをかけていく。さっぱりとした味のスープにしゃぶしゃぶのような感覚で牛肉をひたしていくので、食べ進めるごとに牛肉に熱が通り、食感が変わる。

拡大麺が見えなくなるほど、牛肉をその上に敷き詰める

 一緒に添えられているライムや唐辛子を混ぜていくことによる味の変化もこの料理の魅力だ。「南ベトナムは、他の地域と比べて特に味が優しいんです。最初から辛い味つけで出てくるものはほとんどないんです」。だからこそ料理に添えて出すソースや調味料など、細部までこだわるのだという。

拡大熱したスープをたっぷりかけてフォーボータイを仕上げる

拡大麺や肉のうまみはもちろん、玉ねぎもやしまで、みずみずしい食べごたえだ

 「ブンティッツヌオン」は、中まで味のしみこんだ肉と、野菜のみずみずしい食感が同時に楽しめ、肉料理としてもサラダとしても選びたくなる一品だ。そんな野菜をたっぷり使ったヘルシーなメニューは周辺のオフィスワーカーたちにも愛され、毎日のように足を運ぶお客さんもいるほどだという。

拡大慣れた手つきで細やかに野菜を刻んでいく南さん

拡大一皿で様々な食感が楽しめるブンティッツヌオン

 「若いときからお料理は好きでね、お客さんが来たら毎回のように自分で料理を作っていたんですよ。皆に食べてもらうのが楽しくて仕方がなかったんです」という南さん。作って下さった3品のお料理を食べながら、故郷の家を訪れた人々を、幼い南さんが嬉しそうにおもてなしをしていた光景が目に浮かぶようだった。「本場の味を伝えるレストランを開きたい」という夢を叶えるまで、どんな道のりをたどってきたのだろうか。それは世界情勢や社会の変化に翻弄され続けた、過酷な歩みでもあった。

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筆者

安田菜津紀

安田菜津紀(やすだ・なつき) フォトジャーナリスト

1987年神奈川県生まれ。Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)所属フォトジャーナリスト。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、カンボジアを中心に、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で貧困や災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。写真絵本に『それでも、海へ 陸前高田に生きる』(ポプラ社)、著書に『君とまた、あの場所へ シリア難民の明日』(新潮社)。『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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