ルノーの子会社化が色濃くなった日産の新たな布陣
グローバル企業が海外の子会社に使う「定石」を踏まえた人事が持つ意味
酒井吉廣 中部大学経営情報学部教授

日産自動車グローバル本社=横浜市西区
10月8日、日産の取締役会は、9月9日に代表執行役社長と最高経営責任者(CEO)を辞任した西川廣人取締役の後任に、専務執行役員・東風汽車有限公司総裁(日産の中国子会社)、中国マネジメントコミッティ議長の内田誠氏を任命した。
また、一時的に代表執行役社長兼最高経営責任者を兼務していた山内康裕・代表執行役最高執行責任者(COO)の後任として、ルノー出身で三菱自動車最高執行責任者のアシュワニ・グプタ氏を任命。さらにグプタ氏の直属の部下となる新たなポストの執行役副COOに、この5月からパフォーマンスリカバリーを担当した専務執行役員の関淳氏を任命した。
取締役会議長の木村康氏と筆頭社外取締役・指名委員会委員長の豊田正和氏は記者会見で、任命理由として「国際人」「アライアンス重視」「スピード経営」という面で一致する3人によるコンセンサス経営を上げた。くわえて、一人が強いリーダーシップを発揮することの負の側面も考えて、「三頭体制」を敷いたとも説明した。また、西川・前CEOが作った3年計画のリカバリー・プランについては、「西川プラン」という呼び方自体に違和感があるものの、基本的にはこれを日産のプランとして遂行し続けたい希望を示した。
本稿では、9月18日の拙稿「西川社長に即時辞任を勧告した日産は正しかったか」を踏まえ、来年1月1日までの状況を見極めると言う視点から、グローバル企業のガバナンスという観点と現実の経営の難しさという点で評価を試みたい。