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全国知事会長が語る激甚災害で自治体にできる互助

徳島県の「防災知事」飯泉嘉門氏が提言。避難勧告・支援要請は「空振り恐れるな」

藤田直央 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

拡大取材に応じる全国知事会長の飯泉嘉門・徳島県知事=10月15日、東京・平河町。藤田撮影

 激甚化する自然災害から命をどう守るか。台風19号は深刻な問いを日本社会に改めて突きつけた。住民に近い地方自治体にできることは何か。旧自治省で中堅官僚当時に阪神・淡路大震災への対応にあたって以来、防災にこだわり続ける全国知事会長の飯泉嘉門・徳島県知事(59)に聞いた。

 筆者が国会近くにある全国知事会のオフィスを訪ねたのは10月15日。連休中に台風19号が東日本を蹂躙した直後だった。インタビューに応じた飯泉氏にまず、なお全貌の見えない被害のすさまじさをどうみるかを聞いた。

自治体同士でできる互助

拡大台風19号による10月15日時点での被害状況=朝日新聞社
 「異常気象のなせる業ですね。東日本で最大瞬間風速60メートルが予想され、これだけの雨を一時に降らせ、日本列島を抜けるまでに温帯低気圧に変わらなかった台風なんて聞いたことがない。河川ではあれだけ多くの堤防が越水ではなく決壊してしまった。最近の西日本豪雨や九州北部豪雨では『線状降水帯』という現象も起きていますが、激甚化する自然災害に対して防御の形が取れていません」

 発災直後にヘリコプターを一斉に飛ばしての人命救助や、大きな河川の堤防など主要防災インフラの強化では国に頼らざるを得ない面もあるが、飯泉氏は都道府県同士でできる互助があると強調する。被災地への支援はもちろん、そうした各方面からの支援を被災自治体が受ける「受援態勢」の立ち上げに協力することだ。

 「昨年の西日本豪雨で徳島県は、甚大な被害の出た愛媛県や宇和島市のカウンターパートになり、職員を派遣しました。都道府県同士で一対一の関係ができれば、被災地の地理や支援ニーズもわかってくる。切羽詰まっている被災自治体にどんな支援をすればいいかと聞くのでなく、こうしていいかと提案できるようになります」

 「発災から72時間は人命救助、その後は助かった人が集まる避難所の運営支援、5日を過ぎれば避難者の体調不良に対応する保健師チームの派遣や、被災者が今後様々な支援を受けるための罹災証明の発行などが必要になってくる。タイムラインを考え、次はこうした段階です、支援の用意があるので必要ならボタンを押して下さいという助言もできます」

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筆者

藤田直央

藤田直央(ふじた・なおたか) 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

1972年生まれ。京都大学法学部卒。朝日新聞で主に政治部に所属。米ハーバード大学客員研究員、那覇総局員、外交・防衛担当キャップなどを経て2019年から現職。著書に北朝鮮問題での『エスカレーション』(岩波書店)

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