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関西電力事件、菓子箱の底に金の小判って何さ?

[158]福井県小浜・高浜、関西電力記者会見、過労死したNHK記者を考える会……

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

関電記者会見、メディアの質問力が甘いのだ

10月2日(水) 何しろここは大都市から離れている。今日の午後、大阪で関西電力経営トップの2回目の記者会見がある。それをカバーするために、いったん高浜町を離れてKIディレクターらと別行動をとる。朝、ローカル線の小浜線に乗って敦賀まで出て、そこで新大阪行きの北陸本線に。12時半には新大阪に着いた。

 13時半にKAディレクターらと合流。記者会見場の堂島リバーフォーラムのホールにはすでに大勢の報道陣が詰めかけていた。とっくに前の方の席は場所取り戦に参加した社で占領されていた。みると耳にイヤホンをさしてスーツを着ている関電の社員らが会場各所に配されている。フリーランスの今西憲之氏を見かけ、あいさつした。

 関電からは八木誠会長と岩根茂樹社長、それに事務方の2名が両脇にいた。会見開始の直前にペーパーが配布された。関電の社内調査委員会の報告書だが、一部が黒塗りになっていた。岩根社長が、報告書の要点に触れながら説明をしていったが、まるで関電が森山元助役の金品贈与の「被害者」であるかのような説明に唖然とした。返す機会をうかがっていたが返せなかったと。ひどい恫喝があっただの、個人の責任で一時的に保管していただの、見苦しい限りの言い訳を並べていた。不適切だが違法ではない、という一線だけは執拗に守っていた。

会見で頭を下げる、関西電力の岩根茂樹社長(右)と八木誠会長=2019年10月2日拡大会見で頭を下げる、関西電力の岩根茂樹社長(右)と八木誠会長=2019年10月2日

 添付されていた金品受領に関する一覧表も呆れるばかりの代物だった。現金、商品券、米ドル、金の小判、純金インゴット、金杯。江戸時代かよ。ダメ押しが1着50万円相当のスーツ仕立券。八木会長はちゃっかりスーツを仕立てていた。

 幹事社が質問したが相手の答えがのらりくらりだったので、挙手して質問した。例の内部告発文書についてこの場で直接あてるのはちょっとまずいと判断して、「関電内部で今回の不正を指摘する声が岩根社長のもとに届いていたということはなかったのか」と質した。さらに「受領した金品はどのように返したのか」、「これほどの明白な不正で企業経営者としての倫理的責任から身を退かれる気持ちはないのか」。岩根社長は、就任祝いにいただいた菓子箱の底の方に金の小判が入っていたと告白した。本当にまるで江戸時代。

 会見は、その後の小林敬弁護士(この調査報告書を作成した責任者であり、社内調査委員会のメンバーでもある)による補足会見も含めて6時間近くに及んだが、ついに会長、社長らは「辞任する」とは言わなかった。反省を込めて言うのだが、これだけのひどい説明で、経営陣を辞任に追い込めなかったのは

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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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