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タンザニア野球のスローガンは規律、尊敬、正義

野球人、アフリカをゆく(14)タンザニアの学校でついに野球が必須の競技に!

友成晋也 認定NPO法人アフリカ野球友の会 代表理事

新聞の1面に掲載された記事

拡大タンザニアの現地語はスワヒリ語。1面には開会式の際のテープカットの写真が掲載された。
 「ンチンビ事務局長から、タンザニア甲子園の記事が掲載された現地の新聞紙をもらってきました!」

 「お、海輝君、ありがとう。どれどれ……」

 デイリーニュース紙とミチェゾ紙。共に一面に首相が出席した開所式の写真が掲載されている。文字はタンザニアの国語であるスワヒリ語だ。

「これじゃ、読めないですね」と苦笑する高橋に「ンチンビさんに訳を聞かせてもらっているんだよ。すごく大事な記事だから、永久保存版にしないと」と言いながら紙面を開き、写真がたくさん掲載されているページを見た。

 「開会式の写真がたくさん載ってますね!」

 高橋が私の隣に腰を下ろし、覗き込む。

 「この記事は開所式で首相が何を話したかが書かれているんだよ」

 「あの長かったスピーチですね!」

 高橋は写真係として炎天下でカメラのシャッターを押し続けたのだろう。長いスピーチできっと大変な思いもしただろう。私はねぎらいの気持ちを込めて、少し丁寧に解説した。

鳥肌が立った首相のあいさつ

拡大熱戦の様子を試合前からカメラに収めるアフリカ野球友の会学生部リーダー高橋海輝さん。
 「マジャリワ首相の長いスピーチの中で、二度ほど盛り上がって拍手がわいた時があっただろ?」

 「あ、はい。何を言ってるのかわからなかったのですが」

 首相は聴衆のほとんどがタンザニア人であることを意識し、スピーチをすべてスワヒリ語で通した。英語は得意だがスワヒリ語は分からない高橋を含め、球場にいた日本人はみな蚊帳の外だった。

 「あの開会式の後、ンチンビが顔色を変えてやってきてね。首相は素晴らしいスピーチをした、と興奮気味に言うんだよ。その説明をきいて鳥肌が立ったんだ」

 「どんなすごいことを言ったんですか?」

 ちょっともったいぶった私の言い方に素直に食いつく高橋。

拡大開所式でスピーチを行うマジャリワ首相。アフリカ野球の発展に向けて画期的な演説を行ってくれた。
 「三つのことを述べたらしい。首相がスピーチしているときに、後ろのVIP席にスポーツ大臣がいただろ?『私は首相として、皆さんの前で、今ここにいるスポーツ大臣に三つの指示を出します』とまず言ったんだ」

 「かっこいいっすね!」

 「政治家だから話し方がうまいんだろうね。一つ目は、日本の皆さんの協力で建設していただいたこの球場をハイレベルにメンテナンスしていくこと。大事なことだが大したインパクトはない」

 「そうですね」

 「ふたつ目の指示。2020年は東京オリンピックだ。日本の支援に報いるためにも、オリンピックにタンザニアが出場するため最大限の支援をするように、と言ったらしい」

 「なるほど、それは盛り上がりますね」

 「夢がある話だし、ちょうど日本でオリンピックが行われるから、話がつながるよな」

 「でも、オリンピックはさすがに難しいんじゃないすか?」

 「それを言っちゃあおしまいよ。まあ、会場にいた選手たちを勇気づけたかったんだろうね」

 「三つ目はなんですか?」

 「これが実にすごい指示なんだよ」

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筆者

友成晋也

友成晋也(ともなり・しんや) 認定NPO法人アフリカ野球友の会 代表理事

中学、高校、大学と野球一筋。慶應義塾大学卒業後、リクルートコスモス社勤務を経てJICA(独立行政法人国際協力機構)に転職。1996年からのJICAガーナ事務所在勤時代に、仕事の傍らガーナ野球代表チーム監督に就任し、オリンピックを目指す。帰国後、2003年にNPO法人アフリカ野球友の会を立ち上げ、以来17年にわたり野球を通じた国際交流、協力をアフリカ8か国で展開。2014年には、タンザニアで二度目の代表監督に就任。2018年からJICA南スーダン事務所に勤務の傍ら、青少年野球チームを立ち上げ、指導を行っている。著書に『アフリカと白球』(文芸社)。

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