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「欧州で最も成功した」ポルトガルの社会民主主義

花田吉隆 元防衛大学校教授

ユーロ危機の中、救済パッケージの有効性を証明

 もう一つポルトガルが注目される理由がある。同国は2011年、財政破綻の寸前までいった。当時、燃え盛るユーロ危機にあって、ポルトガルをはじめとした地中海諸国はいつ財政破綻に見舞われてもおかしくない、と言われた。しかし、仮にどこかが破綻すれば被害は甚大だ。ユーロ体制自体が崩壊するかもしれない。IMF、ECB(欧州中央銀行)、EUの三者は危機に瀕した国を救うべく必死の対応を続けた。ポルトガルにも780億ユーロが救済資金として提供された。俗にいう「トロイカ合意」だ。

 2017年6月、ポルトガルは晴れて「過剰財政赤字是正手続」を終了、救済国の地位卒業にこぎつけた。コスタ首相の顔は晴れ晴れとしていたが、嬉しいのはコスタ首相だけではない。救済にあたったIMF、ECB、EUにとり、ポルトガルは地中海諸国の中の優等生だ。自らが課した救済パッケージの有効性がみごとに証明されたことにホッと胸をなでおろしたことだろう。それにしても救済パッケージにより課される緊縮政策はどの国の国民にとっても大きな負担で、中には社会不安に至る所もないわけではない。ポルトガルの中道左派政権はいかにして経済を劇的に再生させたのか。

 一部欧州メディアは、コスタ首相の社会党を、「欧州で最も成功を収めた社会民主主義」と評する。他の社会民主主義政党がそろって不遇をかこつ中、ポルトガル社会党の成功はひときわ異彩を放つ。6日の総選挙では、それまでの86議席から一挙に20議席を上積みし106議席を獲得した(暫定値、得票率37%、総数230議席)。対する野党、社会民主党は、それまでの89議席から12議席失い77議席に沈んだ。なお、ポルトガルでは社会党が中道「左派」で、社会民主党が中道「右派」に位置づけされる。

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筆者

花田吉隆

花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授

1953年生まれ。在スイス大使館公使、在フランクフルト総領事、在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、現在、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」(創成社)「スイスが問う明日の日本」(刀水書房)等。

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