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森ゆうこ議員の質問漏洩問題から見える日本の劣化

霞が関の片隅で起こった日本の劣化が日本の社会全体を蝕む前に私たちがするべきこと

米山隆一 衆議院議員・弁護士・医学博士

事前通告制度はなぜ必要か

拡大参院予算委で質問する森ゆうこ議員=2019年3月7日
 まず、(1)の質問の事前通告制度の概要と意義ですが、一般の方には、そもそも国会質問に際し、事前通告など必要ないように思えるのではないでしょうか。私も新潟県知事になり、実際に答弁に立つまではそう思っていました。

 しかし、知事であれ大臣であれ、所轄の事項は極めて多岐にわたり、そのすべてに精通するのは極めて困難で、事前通告なしでは、どうしても答えられないことが出てきます。仮に精通していても、行政としての方針を答えるには、関係者の利害調整等が必要なものも多く、事前通告なく質問されると、「関係者で調整してから答えます」としか言いようがない場合も出てきます。

 従って、実のある答弁をするためには、質問内容を通告してもらうことは、調査と利害調整をしたうえで行政の方針を答えるために、ある程度やむを得ないことと思われます(ただし、それは答弁側が「実のある答弁にしよう」とする意思があることが前提であり、これがないと、単に質問をはぐらかす方法を練り上げるだけになります)。

答弁はどう作られるか

 それでは、事前通告があった場合、どのようにして答弁が作られるのでしょうか(県の答弁の作り方と官僚の方からの伝聞による推測になりますが、おそらくそう違わないと思います)。

 事前通告があると、質問が担当省庁の担当部署の担当者に振られ、担当者が下原稿を書きます。誰が答弁するかによって局長、官房、大臣秘書官等が審査・決裁し、すべてをクリアすると答弁原稿ができあがります(知事の時は、私が最終的な答弁審査をしていましたが、官僚の方からの情報によると、総理・大臣等は決裁せず、大臣秘書官の決裁で終わるとのことです)。審査・決裁にそれぞれ一発でOKがでれば話は早いですが(この時点でも時間はかなり遅くなっていますが)、各段階で修正が入ると、再作成や再調整に時間を要し、作業はさらに夜更けに及ぶとのことです。

 並行して、答弁する大臣に質問と答弁の内容を理解してもらうための「レク資料」が作成され、答弁前に大臣にレクをする必要があります。そのため、前日の深夜に答弁原稿を完成させ、やっと帰宅したら数時間後には省庁に戻り、国会審議の前に大臣レクをするという手順になるとのことです(それぞれの担当者は別だったりするようですが)。

 たしかに苛酷な作業で、質問通告が遅れるとこの膨大な作業がすべてストップし、多大な人員がなすすべもなく待ちぼうけをくらう訳ですから、愚痴のひとつも言いたくなるのだろうと思います。

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筆者

米山隆一

米山隆一(よねやま・りゅういち) 衆議院議員・弁護士・医学博士

1967年生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学系研究科単位取得退学 (2003年医学博士)。独立行政法人放射線医学総合研究所勤務 、ハーバード大学附属マサチューセッツ総合病院研究員、 東京大学先端科学技術研究センター医療政策人材養成講座特任講師、最高裁判所司法修習生、医療法人社団太陽会理事長などを経て、2016年に新潟県知事選に当選。18年4月までつとめる。2022年衆院選に当選(新潟5区)。2012年から弁護士法人おおたか総合法律事務所代表弁護士。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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