森ゆうこ議員の懲罰要求署名の格好悪さと不気味さ
偽りの目的を旗印に掲げた署名運動は日本の民主主義にとって極めて危険だ
米山隆一 衆議院議員・弁護士・医学博士

参院予算委で質問する自由党の森ゆうこ幹事長=2019年3月4日
森ゆうこ参議院議員の質問通告に端を発した自称官僚アカウントによる誹謗問題と、その後の元財務官僚・高橋洋一氏の質問漏洩問題が世間を騒がせた後、今度は質問の対象となった国家戦略特区WG座長代理の原英史氏が、「国会議員による不当な人権侵害を許さず、 森ゆうこ参議院議員の懲罰とさらなる対策の検討を求めます。」という、率直にいって前代未聞の署名運動を開始しました(詳しくはこちら)。
必ずしも世間の注目度が高いとは言えないものの、一部の耳目を集めており、個人的に看過できないと考えるので、この署名運動に対する私見を述べたいと思います。
まず前提として、この懲罰要求署名運動は民間がやっている運動であり、それ自体は自由です。しかし、当然のことながらそれをどう感じるか、どう評価するかもまた自由であり、それゆえに私見を述べるわけですが、率直に言ってこの運動は、
①そもそも懲罰に該当しないことに対して懲罰を求めており筋違いである
②運動の発起人(※注)は懲罰に該当しないことをわかっているはずで、実現する気のない「偽」の目的を旗印に掲げた運動である
③このような運動が民主主義を危うくすることにあまりに無自覚である
ことから、恐縮ながら、極めて「格好の悪い」「不気味な」ものであると私は思いま
す。
※発起人
朝比奈一郎、生田與克、池田信夫、岩瀬達哉、上山信一、加藤康之、岸博幸、鈴木崇弘、髙橋洋一、冨山和彦、新田哲史、原英史、町田徹、八代尚宏、屋山太郎(敬称略、五十音順)
以下、その理由について詳述します。