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「環境」が欧州を変える

スイス緑の党の躍進に見る欧州政治の潮流変化

花田吉隆 元防衛大学校教授

スイス政治の潮流に変化、環境が前面に

拡大初雪を目前にしたスイスの氷河で、溶けないように保護するシートを取り外す人たち
 スイス政治はこれまで、そういう流れの中にあった。そのスイスで今回「山が動いた」のだ。南ドイツ新聞は「スイス社会の風向きが変わった」「スイスの右傾化は過去のものとなりつつある」といい、ツァイト紙は「スイス政治の権力の重心が移った」という。保守化一辺倒だった政治地図が一気に「左」にふれ、「環境」が政治イッシューとして前面に躍り出た。明らかなスイス政治の潮流変化だ。しかし、これはスイスだけの現象でない。欧州議会選挙然り、ドイツ然り、オーストリア然り。欧州政治全体が変化しつつある。

 スイスの場合、国民はとりわけ環境に敏感だ。人々の生活は自然と共にある。アルプスから流れ出る水は国土をくまなく潤し、人々はアルプスの空気を吸って、牛を飼い、馬を飼い生活している。そういうスイス人にとり、アルプス氷河の異変ほど気候変動を身近の脅威として感じられるものはない。アルプス氷河といえば、夏でも溶けることなくその堂々たる威容を人々に見せつけてきた。スイス人は昔からそういう姿を見て育ってきた。それがあろうことか、氷河が年々、無残な山肌をさらしていく。アルプスの平均気温は、19世紀半ばから既に2度上昇したという。これは何とかしなければならない。目の前に、変わりゆく氷河の姿を見せつけられ、環境問題が人々の最優先課題にのし上がるのに時間はかからなかった。とりわけ若年層が敏感に反応した。毎週金曜、若者たちは環境保護を訴え、通りを練り歩いた。「フライデー・フォー・フューチャー運動」である。

 これに対し、

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筆者

花田吉隆

花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授

在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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