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緒方貞子さんに聞いた20年前の忘れられない言葉

援助とは困っている人の傍らに行って助けること。札束で顔を引っ叩くことではない

山口 昌子 在仏ジャーナリスト

拡大在りし日の緒方貞子さん=2014年9月16日、東京都新宿区

 国連難民高等弁務官の緒方貞子さんが亡くなった。92歳だった。こういう人こそ、「文化勲章」に値いするのではないかと思った。1999年4月末にジュネーブのUNHCR事務所で取材した時のことを思い出したからだ。

 その時、緒方さんは怒っていた。私の取材の前に日本からやってきた経団連代表と面談していて、「お金の話ばかりだった。日本人はたくさんお金さえ出せばいいと思っている」と言い、総額2億ドルのコソボ難民支援額を決定した日本政府を歓迎しつつも、人的支援を強く訴えた。

 「日本の非政府組織(NGO)にもっと現地に来てほしい」
 「人を援助し、保護するには相当の犠牲が必要。その人の傍らに行かなければ、本当にその人を守ることはできない」

 援助は困っている人の傍らに行って助けること、札束で顔を引っ叩くことではない、という信念が透けてみえるようだった。


筆者

山口 昌子

山口 昌子(やまぐち しょうこ) 在仏ジャーナリスト

元新聞社パリ支局長。1994年度のボーン上田記念国際記者賞受賞。著書に『大統領府から読むフランス300年史』『パリの福澤諭吉』『ココ・シャネルの真実』『ドゴールのいるフランス』『フランス人の不思議な頭の中』『原発大国フランスからの警告』『フランス流テロとの戦い方』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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