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英語民間試験よりも深刻な効果ゼロの大学入試改革

萩生田文科相の「身の丈」発言を契機とした英語民間試験の導入延期は当然として……

米山隆一 前新潟県知事。弁護士・医学博士

拡大民間試験延期に不満を表明する決議文を萩生田光一文科相(右から4人目)に手渡す高階恵美子・自民党文部科学部会長。右から3人目は柴山昌彦前文科相、7人目は馳浩元文科相=2019年11月5日、東京都千代田区の文部科学省

 荻生田光一文部科学大臣の「身の丈」発言を契機に、来年度から始まる大学入学共通テストへの英語の民間試験導入について「地域による不公平性」「経済的負担の大きさ」「7種類の試験の比較の難しさ」等が政策的欠陥として取り上げられ、世論が一気に盛り上がり、5年間延期されることが決まりました(朝日デジタル2019年11月1日

 私は、今回の民間試験は、
①地域によって受けられる試験にあまりに差がある、
②試験によっては相当に高額で生徒・家庭の負担が大きい、
③「練習受験」の回数制限がなく、①②の格差がそのまま評価・判定の格差に直結しかねない、
④7種類ものテストを相互に比較するのは技術的に極めて困難である、
⑤そもそも民間が出題・採点するのであり試験が公正に行われる保証がない、
と、あまりに問題が多く、導入延期の決定は当然であると思います。

 一方、「延期」はあくまで延期であり、5年後の2024年には、制度に修正を加えた後、導入される予定となっています。延期が決定した後の自民党文部科学部会では、歴代の文科相が「延期は政治的だ」と批判したとも報じられているほか、急先鋒である柴山昌彦・前文科相、馳浩・元文科相らは11月5日文部科学省を訪れ、萩生田文部科学大臣に、(英語民間試験導入延期で)「失望感を与えることになった」とする決議案を手交して導入に強い意欲を示しています(朝日新聞デジタル2019年11月5日

 今般の民間試験導入は、政府・自民党が掲げる教育改革の目玉のひとつである大学入試改革(高大接続改革)の一環であり、政府・自民党はあくまで英語の民間試験導入と、これを含む大学入試制度改革を実行するつもりであると考えられるのです。

 しかしながら私は、そもそも政府が掲げる大学入試改革自体が、ほとんど何の効果も無く、間違っていると思いますので、以下論じさせていただきます。

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筆者

米山隆一

米山隆一(よねやま・りゅういち) 前新潟県知事。弁護士・医学博士

1967年生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学系研究科単位取得退学 (2003年医学博士)。独立行政法人放射線医学総合研究所勤務 、ハーバード大学附属マサチューセッツ総合病院研究員、 東京大学先端科学技術研究センター医療政策人材養成講座特任講師、最高裁判所司法修習生、医療法人社団太陽会理事長などを経て、2016年に新潟県知事選に当選。18年4月までつとめる。2012年から弁護士法人おおたか総合法律事務所代表弁護士。

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