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牛肉と意識高い系

世界で強まる風当たり 日本は「意識低い系」? 

塩原俊彦 高知大学准教授

無視できない家畜が排出する温室効果ガス

 牛、豚、鶏などの家畜は食物消化時に、胃腸などの消化管内の発酵で生じる、温室効果ガスのメタン(CH4)を空気中に排出する。ほかにも、排せつする糞尿などに含まれる有機物が糞尿管理(糞の堆積発酵や尿の浄化など)の途上でメタン発酵によってメタンに変換されて空気中に排出される。

拡大家畜が排出する温室効果ガスのうち約6割が牛由来とされる

 国連の食糧農業機関(FAO)が2006年に公表したところでは、地球上の全家畜からの温室効果ガスは世界中の温室効果ガス排出量の14.5%にあたる。だからこそ、気候変動防止のために人為による温室効果ガスの排出削減が必要とみなす人々にとっては、家畜によって排出される温室効果ガスを無視できないのだ。

 FAOのサイト情報によると、牛肉と牛乳のために排出される温室効果ガスはそれぞれ家畜全体の排出量の41%と20%にのぼる。豚肉は9%、鶏肉と卵は8%とされている。このため、とくに牛肉や牛乳への風当たりが強まっている。

 The Economist(2019年10月12日付)に興味深い記事が掲載されている。肉の代替品としての植物性の肉の将来性に注目しているのだ。Euromonitorという市場調査会社によると、アメリカ人は肉の代替品に年間14億ドルを費やしているが、それは本物の肉に消費する金額の約4%にすぎない。

 一方、ヨーロッパの人々は年15億ドル、本物の肉に費やす額の9~12%を「肉なしの肉」に

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

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