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GSOMIA失効目前、日本政府へ緊急提言する 

安全保障の観点から、日本側がイニシアティブをとるべし

登 誠一郎 社団法人 安保政策研究会理事、元内閣外政審議室長

GSOMIAの失効回避がまず第一歩

 韓国政府がGSOMIA(軍事情報包括保護協定)破棄の通告を取り消すか、または日韓両国が協定の暫定的な延長に合意しない限り、これは11月23日午前0時に失効する。その意味するところは単に日韓の関係悪化を一層進行させるのみならず、東アジアの安全保障の構図に大きな変化をもたらすことが深刻に懸念される。

 北朝鮮は、トランプ大統領による融和的な言動と文在寅大統領の親北政策につけこむように、本年に入ってからもミサイル発射を繰り返し、また韓国を日米から切り離すべく種々画策している。この北朝鮮にとってGSOMIAは目の上のたん瘤のような存在であり、これが失効することは、ひたすら北朝鮮を利することになる。

 従って、米国も11月初めに国務次官補を派遣して、在韓米軍の駐留費増額をもちらつかせながら韓国の説得に努めたが、韓国の態度には変化が見られなかった。

 この状態に危機感を抱いた米国政府は、15日からエスパー国防長官を韓国に派遣して、GSOMIAの暫定延長を視野に、ハイレベルで韓国側と協議すると報じられている。

拡大韓国を訪問したスティルウェル米国務次官補(右)と康京和外相(右から2人目)=2019年11月6日、ソウル、東亜日報提供


筆者

登 誠一郎

登 誠一郎(のぼる・せいいちろう) 社団法人 安保政策研究会理事、元内閣外政審議室長

兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、外務省入省(1965)、駐米公使(1990)、ロサンジェルス総領事(1994)、外務省中近東アフリカ局長(1996)、内閣外政審議室長(1998)、ジュネーブ軍縮大使(2000)、OECD大使(2002)を歴任後、2005年に退官。以後、インバウンド分野にて活動。日本政府観光局理事を経て、現在、日本コングレス・コンベンション・ビューロー副会長、安保政策研究会理事。外交問題および観光分野に関して、朝日新聞「私の視点」、毎日新聞「発言」その他複数のメディアに掲載された論評多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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