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ローマ教皇フランシスコが長崎の爆心地に立つ意味

核兵器廃絶を訴える教皇の訪問で浮かびあがる「ナガサキ」とは何なのかという問い

高瀨毅 ノンフィクション作家・ジャーナリスト

拡大原爆落下中心地碑=2019年11月8日、長崎市松山町(筆者撮影)

 世界中に12億人の信者を擁するカトリックの総本山、ローマ法王庁=バチカンの第266代ローマ教皇フランシスコが11月24日、被爆地である長崎と広島を訪問する。被爆地について語る時、一般的には「広島、長崎」という言い方をする。しかし、今回、教皇は広島に行く前にまず長崎に入り、爆心地公園(長崎市松山町)に立つ予定だ。興味深いのは、そこが平和公園ではなく、爆心地公園であることだ。被爆地としての長崎の「いま」を考えるうえで重要な場所だからである。

日本のカトリック信仰の中心地・長崎

 長崎は、日本のカトリック信仰の中心地である。歴史的にローマとの関係は長く、深い。日本では江戸時代から明治時代初頭にかけて、250年間にわたりカトリックの信仰が禁圧されたが、その間、潜伏キリシタンとして信仰を守り通した物語は、世界にも例を見ないと言われる。

 とりわけ信者が多かったのが、長崎市の北のエリアにあたる浦上地区。広島に続く2発目の原爆は、その浦上に投下され、8500人(いまだに正確な人数は不明)とも言われる数の信徒が犠牲となった。中心的教会だった浦上天主堂も瓦解した。

 教皇フランシスコは2013年に就任して以来、核兵器廃絶を訴え、バチカン市国は国連で2017年に採択された核兵器禁止条約をすでに批准している。教皇にとって長崎は、「カトリック」と「核兵器」という二つの重要なテーマが交錯する場所ということになる。

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筆者

高瀨毅

高瀨毅(たかせ・つよし) ノンフィクション作家・ジャーナリスト

1955年。長崎市生まれ。明治大卒。ニッポン放送記者、ディレクターを経て独立。『ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」』『ブラボー 隠されたビキニ水爆実験の真実』など歴史や核問題などの著作のほか、AERAの「現代の肖像」で人物ドキュメントを20年以上執筆。ラジオ、テレビのコメンテーターなどとしても活躍。