日韓議員連盟は「英語」で対話を!
アジア政党国際会議を参考に英語で対話する日韓議員チームをつくろう!
鈴木賢一 政党事務局部長代理
アジア政党国際会議に学ぶ政治対話の成功要因
日韓議連が力を落とす一方、国を越える政治家同士の対話機関として急速に発展したのが、2000年にフィリピンのホセ・べネシア下院議長が中心になって設立したアジア国際政党会議(ICAPP)だ。

2018年にイランで開かれたICAPPのシルクロード特別会議(出典:ICAPP)
国際社会には、イデオロギーをベースにした国際民主同盟(IDU)や社会主義インターナショナル(SI)など国際的な政治対話機関がある。それらと異なりICAPPはイデオロギーも与野党も問わない。国会で一定の議席を確保していれば、どんな政党にもオープンだ。
2年に1回開かれる総会には、北朝鮮の朝鮮労働党からも代表団が参加するくらいだ。20年前に発足したばかりなのに、アジアで最大級の政治対話の場へと成長し、今では中南米、アフリカの政党との定期交流、2018年から欧州政党、今秋からは北米政党との定期交流もスタートさせ、世界5大陸全ての政党とのネットワーク構築に向かって着実に進んでいる。
日韓の政治対話の改革方向
ICAPPの「共通言語」は英語だ。会議は全て英語で行われ、通訳者が入ることはない。
各国の政党代表が均等に割り振られた時間内でスピーチする。朝昼晩のいずれの会食も座席が自由なため、会議テーマ以外にさまざまな案件について参加者は意見交換できる。
イランで開かれた会議に参加した小職はネパールの元首相らと朝食を共にし、双方の政治情勢について率直に語り合った。会議に参加すれば、各国の与野党の政党幹部と一度に多くの知己を得られる貴重な場なのだ。
実は、ICAPPと日韓議連には、「定期交流」「超党派」という共通点がある。相違点は、現在の議連が「共通言語」を持たないということだ。議連が成果を挙げていた前半期では、日本語が実質的な「共通言語」だった。
2015年秋に小沢一郎議員の随行で訪韓した際、金鍾泌元首相(元韓日議連会長)との面談に陪席した。二人は、かつて打った囲碁や現下の両国関係などについて親しげに日本語で語り合っていた。韓国側で国交正常化の最大の功労者と目されていた金氏は、卓越した政治力に加えて、流暢な日本語能力が故に日本の政治家と深い信頼関係を結び、両国間の難問を解いてきたのだろう。
今後、金氏のように日本語に堪能な政治家が生まれてくることは想像できない中、政治対話を改善するためには新たな「共通言語」を持つことが有効だ。

昼食会を前に握手する日韓議員連盟の額賀福志郎会長(左)と韓国の徐清源(ソ・チョン・ウォン)国会議員=2019年7月31日、東京都内のホテル