細野豪志(ほその・ごうし) 衆議院議員
1971年(昭和46年)生まれ。2000年衆議院議員初当選(現在7期)静岡5区。総理補佐官、環境大臣、原発事故担当大臣を歴任。専門はエネルギー、環境、安保、宇宙、海洋。外国人労働者、子どもの貧困、児童虐待、障がい児、LGBTなどに取り組む。趣味は囲碁、落語。滋賀県出身
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
福島に寄り添い、差別とは断固として戦う
3.11の後、私は毎年のように福島への後援会旅行を行い、日常的に福島産の果物や魚介類を食べてきた。それだけに、処理水に対する福島の方々の不安、中でも漁業関係者の懸念は理解できる。
小泉環境大臣が就任直後、「福島の皆さんの気持ちをこれ以上傷つけないような議論の進め方をしないといけない」と発言した気持ちも分からなくはない。
しかし、処理水に関する解決方法が一つしかない以上、福島のためにも問題をいつまでも先延ばしするべきではないと私は考える。
福島を除く国内および国外から処理水放出に反対する声には毅然と反論する必要がある。トリチウムは世界中でそれぞれの国の基準に基づいてこれまでも放出されてきたし、今も放出され続けている。
そうした状況は認めておいて、福島からは放出することを認めない、もしくは福島で放出されたトリチウムに関してのみ汚染を問題にするということであれば、それは取りも直さず福島に対する差別だと思う。
松井大阪市長と吉村大阪府知事から、安全が確認されれば処理水を大阪で放出するとの提案がなされた。トリチウムについては原発からの放出について認められているもので、他の地域から放出するとなると新たな枠組みが必要になり実現は簡単ではないが、提案はありがたいものだった。
伏線は3.11の直後、岩手県、宮城県の瓦礫の広域処理にある。環境大臣であった私にとって、風評被害を乗り越えていち早く大阪が受け入れを表明してくれたことは本当にありがたかった。瓦礫と異なり、物理的には処理水は地元で処理できるが、風評被害を乗り越える困難さは同じだ。私は、再び大阪が示した義侠心を重く受け止めたい。