「桜を見る会」が日本政治に突きつけた本当の問題
「国民が認めた」努力に報いる民主主義国家であり続けるかどうかが問われている
米山隆一 衆議院議員・弁護士・医学博士
「夕食会」について確定している「事実」
まず、「安倍晋三後援会(複数の後援会が存在しますがそれらを総称して)に収支は発生していない」という点を考えます。本年の「夕食会」について、確定している「事実」は以下の通りです。
(1) 2019年2月 安倍晋三事務所から後援会員に、「桜を見る会」の申込案内が出された(締切2月20日締切)。この案内には4月20日19時よりホテルニューオータニの鳳凰の間で会費5000円で夕食会が開かれる事が明記され、会費は当日会場で払う事となっていた。
(2)2019年4月20日 推定800人参加で夕食会が開催された(部屋は「鶴の間」に変更された。「鳳凰の間」は立食500人なので、人数が増え立食800人の「鶴の間(東)」に変更されたと思われる。こちらを参照)。
さらに総理は11月18日、記者から問われて、夕食会の総額を示す明細書はないと答えています。(朝日新聞デジタル2019年11月18日)
総理の説明から「推定」した「事実関係」

「桜を見る会」追及チームの会合で、内閣府や総務省の担当者ら(手前)に質問する野党議員ら(奥)=2019年11月14日、国会内
これらの「事実」と安倍総理の説明に従って「事実関係」を「推定」すると、以下の通りとなります。
まず、(1)についてです。
①2019年2月にニューオータニと安倍晋三事務所との間で「1人5000円」という値段がニューオータニの提示で決まった。
②この時、ニューオータニと安倍晋三事務所は「総額」を固定せず、「費用は5000円×来場者」と定めた(「総額」を固定すると、見込み人数と実人数が食い違った時に安倍晋三後援会に収支が発生します)。この取り決めについて、文書が作成されたか否かは不明。
③手付等がまったく支払われないまま、ニューオータニは「鳳凰の間」をおさえた(手付等を支払うと安倍晋三後援会に収支が発生します)。
④その後、参加見込み人数が増えたため、ニューオータニは会場を「鳳凰の間」から「鶴の間(東)」に変更し、やはり全く手付等が支払われないまま「鶴の間(東)」をおさえた(手付等を支払うと安倍晋三後援会に収支が発生します)。
次に(2)についてです。
①2019年4月20日、「夕食会」開催前に、ニューオータニは、代金を1円も受け取っていないにもかかわらず(見込みで代金を支払っていたなら安倍晋三後援会に収支が発生します)、来場見込みの800人+α分の、1枚5000円で宛名が白紙のニューオータニ名義の領収書を安倍晋三事務所職員に手交した(正確に800人と分かっているわけではないし、予備も必要です)。
②「夕食会」開始前の18時~20時程度の間に参加者が其々1人5000円を支払って入場し、宛名が白紙のニューオータニ名義の領収書を得た。
③入場を締め切った時点で初めて全来場者数が確定し、これにより、代金総額が決まった。安倍晋三事務所職員が代金総額全額をニューオータニに支払い、これにより支払いは終了した(この時点でニューオータニの請求額と安倍晋三後援会の支払額に齟齬があると、安倍晋三後援会に収支が発生します)。
④この時、ニューオータニは、安倍晋三後援会に総額についての計算書、受取書、領収書等を一切手交しなかった。
⑤安倍晋三事務所職員は、余った1枚5000円で宛名が白紙の領収書を全てニューオータニに返還した(すべて返還しないと脱税に用いられる恐れがあります)。