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「桜を見る会」が日本政治に突きつけた本当の問題

「国民が認めた」努力に報いる民主主義国家であり続けるかどうかが問われている

米山隆一 衆議院議員・弁護士・医学博士

極めて難しい1人5000円のパーティー

 それでは、実際に「ニューオータニで1人5000円のパーティー」は可能でしょうか。この「1人5000円パーティー問題」については、立憲民主党の石川大我参議院議員が自らの事務所の宴会としてニューオータニに見積もりを依頼し、1万3127円との回答を得たと報告(石川大我議員のツイッター)しています。

 パーティーの料金はオプションの付け方によってもかわるので、この1万3127円という見積もりの値段が安倍総理の「夕食会」にそのまま当てはまるとは言えませんが、ほぼ間違いなく当てはまると考えられる項目が二つあります。それは、「ビール・ソフトドリンク」の1人1800円、室料275万円を800人で割った1人3438円です(実際に使われた「鶴の間東」と同程度の広さの「芙蓉の間東中」の室料。同じ部屋ではありませんが、室料はほぼ広さに比例します。こちらを参照)

 私自身、落選中何度もこの手のパーティーを行い、自分自身でホテル担当者と交渉しているのでよくわかりますが、ホテルは食事の値段については、官邸幹部が主張するように、「唐揚げを増やし」たり、究極「乾いたチーズとサキイカと柿ピーナッツだけを出す」などして比較的柔軟(?)に対応してくれるのですが、アルコール代と会場費だけは、まず値引きしてくれません(より正確には、食事代等でアルコール代と会場費を大幅に上回れば総額での値引きもありえますが、アルコール代と会場費を足した金額より値引くことはまずありません)。

 この二つを足すと1人5238円となり、それだけで5000円をオーバーしてしまいます。従って、いかに唐揚げを増やす“努力”をしても、食事代が上がるだけ。ホテル・ニューオータニで、1人5000円でパーティーを行うことは実際問題、極めて困難だと思われます。

安倍総理には疑いをはらす義務がある

拡大「桜を見る会」で用意された和菓子=2016年撮影
 これについても、安倍総理があくまで「これが真実だ」と主張し続けるなら(主張し続けるんでしょう)、捜査権のない私や国民が、なにかできるわけではありません。しかし、いくら首相が主張し続けたところで、アルコール代と会場費だけで5000円を超えてしまう会場で、出席者が「盛大なパーティー」「料理は結構出ました」(デジタル毎日2019年11月14日)と記載するようなパーティーを開催している以上、その経費は実のところ1人5000円を超えていたのではないかと言う疑念は消えません。

 この疑念を安倍総理が晴らすこともまた、上記の通り極めて簡単で 、(1)の②の見積書・契約書、 (2)の④の計算書、受取書、領収書を、万が一仮に本当に受け取っていないなら、今からでもニューオータニから取得して公開すればいいことですが、総理は今に至ってもそれを行っていません。なぜか。これを説明する答えはただ一つ、「『1人5000円のパーティー』は事実ではなく、(1)の②もしくは(2)の④の書類には、これと異なる事実が記載されている(記載される事になる)」しか考えられません。

 繰り返しますが、「安倍晋三後援会に収支が発生していた」も「夕食会の経費は1人5000円を超えていた」も、私が提起できるのはあくまで「疑念」であって、それを立証することはできません。しかし、民主主義国家においては、為政者は国民から選ばれたことによって正当性を持つのであり、国民の疑念に対しては、適切に説明する義務があります。

 しかも、上記の通り、この「疑念」は社会通念上ごく自然なものであると同時に、総理の主張が真実であるなら、極めて簡単にこれをはらすことができるものです。私は、総理が自らの主張が「真実」であると主張するなら、早期に上記の証拠をもってその疑いをはらす義務があると思います。

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筆者

米山隆一

米山隆一(よねやま・りゅういち) 衆議院議員・弁護士・医学博士

1967年生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学系研究科単位取得退学 (2003年医学博士)。独立行政法人放射線医学総合研究所勤務 、ハーバード大学附属マサチューセッツ総合病院研究員、 東京大学先端科学技術研究センター医療政策人材養成講座特任講師、最高裁判所司法修習生、医療法人社団太陽会理事長などを経て、2016年に新潟県知事選に当選。18年4月までつとめる。2022年衆院選に当選(新潟5区)。2012年から弁護士法人おおたか総合法律事務所代表弁護士。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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