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ベーシックインカム年金 超党派で議論はじまる

「年金財源のリサイクル制度」に議論集中。さらに検討を進化したい

階猛 衆議院議員

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論点の提示と三人の有識者からのコメント

 勉強会の冒頭、私から提言に至るまでの経緯と提言の概要を紹介した。次いで井坂氏から各種データに基づき以下の内容を説明し、論点を提示した。

①今後の離婚・非婚の高齢女性の増加と、これらに伴う「老後の貧困」の深刻化(参照『年金不安を根本から解消するために』『75歳からのベーシックインカム』
②その解決策として、税を財源とする75歳以上向けの「ベーシックインカム年金」(参照『75歳からのベーシックインカム』
③増税に頼らない財源の調達策として、「年金財源のリサイクル制度」(参照『月8万円の「ベーシックインカム年金」を目指して』『消費増税なしでベーシックインカム年金は実現する』
④75歳未満の基礎年金と厚生年金の財政統合による、基礎年金(所得代替率)の改善(参照『消費増税なしでベーシックインカム年金は実現する』

 これを受けて、三人の有識者から順次ご意見を伺った。

稲垣教授

 現在の年金制度は保険料を十分に払えない人について、老後の生活保障を考えていない。国民年金の加入者の4割、約600万人が年金保険料を払えないために保険料免除や納付猶予を受けており、老後の貧困に直面する。

 民主党が政権公約に掲げていた「最低保障年金」がうまく制度化できなかったのは、65歳からこれを始めようとしたことだ。財源が多くなるだけでなく、旧制度から新制度への移行も難しくなる。

 75歳以上向けの「ベーシックインカム年金」なら、移行は容易だ。「年金財源のリサイクル制度」というのも国民負担を増やさず、いい発想だ。

小黒教授

 超党派で年金改革の議論が行われることは喜ばしい。公的年金の純債務は2004年度で690兆円だったのが2019年度で1110兆円に達した。次世代に負担を先送りすべきではない。

 「ベーシックインカム年金」の必要財源は一見巨額に見えるが、例えば8万円の支給額を6万円に引き下げることなどで大幅に圧縮できる可能性がある。

 このままでは、今後生活保護を受ける高齢者が急増しそうだ。生活保護の財源の四分の一は地方自治体の負担であり、人口減少で危機的な地方財政をさらに圧迫することになる。

西沢研究員

 夫が会社員、妻が専業主婦で厚生年金に加入する「モデル世帯」ではなく、単身女性などの老後の貧困に着目した点や、再分配を重視して税金を使う点において評価できる。

 他方、財源の調達方法として消費税を避けている点や「年金財源のリサイクル制度」のオペレーション(実務)に課題が残る。

論点1「老後の貧困」問題の深刻化

議員からのコメント

 まず「老後の貧困」問題が今後深刻化するという私たちの認識について、特段の異論はなかった。ただし、75歳未満は保険料の支払実績に応じた基礎年金が支給されるため老後の貧困は防げず生活保護が増えるとの指摘や、「ベーシックインカム年金」の支給を75歳以上に限定する理由を尋ねる質問があった。

私たちの回答

 これに対し、私たちからは、「様々な統計やアンケートから75歳未満の方は就労の意欲と能力が高く年金以外の収入を得やすいことから、低年金でも生活保護を受給する可能性はさほど大きくない。75歳以上になると年金以外の収入が得にくいことを踏まえ、75歳以上をベーシックインカム年金の支給対象にした」旨の回答を行った。

論点2「ベーシックインカム年金」の妥当性

議員からのコメント

 次に「ベーシックインカム年金」を75歳以上のすべての高齢者に支給することについては、お金に余裕のある高齢者に支給する意味があるのかという疑問や、保険料を払わない高齢者にも支給することで不公平感が生まれるのではないかという指摘があった。

私たちの回答

 前段の疑問について、私たちからは、「人生100年時代に病気や災害などに見舞われるリスクは誰もが負っている。ベーシックインカム年金を当面使う予定がない富裕層でもいざという時に備えて運用に回すという方法もある」旨の回答を行った。

 後段については、「ベーシックインカム年金の原資は保険料ではなく税金であり、老後の貧困を防ぐために再分配を強化することは問題ない、むしろ現在の基礎年金は、(各人の給付額の財源につき保険料と税金が半々であるから)自分が払った保険料に見合う額しか税金による給付が得られず再分配機能が弱いという問題がある」旨の回答を行った。

 ただし、現行制度での税金投入の評価については、別の議員から「現行制度は保険料を払えばそれに見合った税金が支給額に上乗せされるため、保険料を支払うインセンティブを高めている点で合理性がある」旨のコメントがあった。

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筆者

階猛

階猛(しな・たけし) 衆議院議員

衆議院議員(岩手1区)、盛岡一高野球部、東大野球部で投手。勤務先の長銀が経営破たん後、企業内弁護士として活動。2007年補選で初当選、以降小選挙区で5期連続当選。総務大臣政務官、民進党政調会長、国民民主党憲法調査会長などを歴任。

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