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ベーシックインカム年金 超党派で議論はじまる

「年金財源のリサイクル制度」に議論集中。さらに検討を進化したい

階猛 衆議院議員

論点3「年金財源のリサイクル制度」の妥当性

議員からのコメント

 「年金財源のリサイクル制度」については、もっとも議論が集中した。

 議員の関心事は、大別すると、①私たちが試算した返還予想額が過大ではないか、②実質的には相続税の大幅な課税強化であり実務が回るのか、という点であった。

 ①については、返還予想額は現時点で高齢者が保有する金融資産のデータが前提になっているが、リサイクル制度で返還義務が生じるとなると消費に回す高齢者が増え、金融資産が減少して返還額は先細るのではないか、という指摘や、「ベーシックインカム年金」を15年受け取って亡くなると受給総額は約1500万円となるが、これを返還するとなると多くの高齢者は死後に財産を根こそぎ持っていかれて酷だ、という指摘があった。

 ②については、制度導入に国民の理解や協力が得られるのかという問題意識と、相続人などへ返還を求める役所側の事務負担が重いのではないかという問題意識が寄せられた。

私たちの回答

 ①について、私たちからは、「返還の元となる財産は金融資産に限らないため、仮に金融資産が減少しても直ちに返還額が減少することはない。死後に財産を根こそぎ持っていくのではなく、最低限の費用として300万円と、配偶者や子が居住する不動産は返還を求めない」旨の回答を行った。

 ②について、私たちからは、「フランスの高齢者の生活保障給付やドイツの生活保護などに同様の制度があり、定着している。相続税で支払うべき金額は国税当局に立証責任があり、現在のマンパワーでは徴税に限界があるが、リサイクル制度で支払うべき金額は死亡時の年齢から明らかであるため役所側の事務負担は重くない」旨の回答を行った。

論点4 基礎年金と厚生年金の財政統合による基礎年金の改善

議員からのコメント

 75歳未満の基礎年金と厚生年金の財政統合で基礎年金の水準が改善するという点については、年金財政やマクロ経済スライドの仕組みを深く理解していないと、なかなか実感がわかない。参加した議員からも、この年代の基礎年金への税金投入をなくそうとする今回の提案ではむしろ基礎年金の水準が悪化するのではないか、という疑問や、仮に基礎年金の水準が改善するとしても、その分厚生年金の水準が悪化してしまうのではないか、という疑問が出された。

有識者からのコメント

 以上の疑問点については、有識者の皆さんからコメントを頂いた。

 前者の疑問について、稲垣教授から、「税金投入がなくなってもベーシックインカム年金導入で不要となった75歳以上の基礎年金用の保険料で穴埋めできるため、基本的に、年金財政に影響はない。ただし、障害基礎年金や遺族基礎年金の財源をどうするかよく検討する必要がある」旨のコメントがあった。

 後者の疑問について、小黒教授から、「厚生年金のバランスシート上の財源規模は2260兆円であるのに対し、国民年金の財源規模は140兆円で大きな差があるため、統合した場合に厚生年金の水準はわずかに悪化するが大きな影響はない」旨のコメントがあった。

拡大11月12日に開いた超党派勉強会。正面席は左から井坂信彦氏、稲垣誠一・国際医療福祉大学教授、小黒一正・法政大学教授、西沢和彦・日本総研主席研究員、階猛氏。左奥の司会役は井出庸生氏

議員からのその他のコメント

 これ以外にも、専業主婦が保険料負担を免れる「3号被保険者」制度を廃止すべきとの意見、超高齢者には「ベーシックインカム年金」を現金ではなくサービス給付にすべきとの意見、「ベーシックインカム年金」より「最低保障年金」等の名称の方が実現しやすいとの意見、高齢者だけでなく現役世代も含めた生活保障の手段としてベーシックインカム制度を議論すべきとの意見など、多角的ないし大局的なご意見を頂いた。

 総じて私たちの提案内容をさらに発展させて欲しいという建設的な声が多かった印象だ。改めて、今回の勉強会にご参加頂いた有識者、国会議員の皆さんに深く感謝を申し上げたい。

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筆者

階猛

階猛(しな・たけし) 衆議院議員

衆議院議員(岩手1区)、盛岡一高野球部、東大野球部で投手。勤務先の長銀が経営破たん後、企業内弁護士として活動。2007年補選で初当選、以降小選挙区で5期連続当選。総務大臣政務官、民進党政調会長、国民民主党憲法調査会長などを歴任。

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