メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

サルコジが日本で面会。ゴーン奪還に動くフランス

即位の礼で来日のサルコジ元大統領はなぜ、フランス大使館でゴーンと会ったのか

山口 昌子 パリ在住ジャーナリスト

なぜかウマが合うマクロンとサルコジ

拡大マクロン仏大統領=2019年6月21日、ブリュッセル
 サルコジとマクロン。一見すると真逆にも見える二人の関係は、決して悪くない。なぜか?

 マクロンは、いわば、“政治の父”といえるオランド前大統領(社会党)を裏切る形で、「共和国前進」を結成し、大統領に当選した。つまり、オランドの政敵のサルコジとは、「敵の敵は味方」という関係になる。

 おまけに、なぜか二人はウマが合うらしい。実際、公の式典などで、親し気に談笑している光景が、テレビ画面などで何度も映し出されている。今回の新天皇即位式典への出席も、「元大統領」という肩書だけでなく、国家元首であるマクロン大統領が、自らの「名代」として親しいサルコジを派遣したとみられている。このことの意味は重い。

 余談ながら、知日家、親日家で知られるシラク元大統領の国葬に、日本からは誰も馳せ参ぜず、駐仏日本大使が参列しただけだったが、これはまさしく日本の「外交音痴ぶり」を白日の下にさらした事象と言っていい。

 フランスの大統領は、行政の長であると同時に国家元首である。日本に照らしてみれば、首相と天皇陛下を兼務しているかたちだ。つまり、シラクは元国家元首なのである。だからこそ、その国葬には党派を超えて、米国からはクリントン元大統領が、ロシアからはプーチン現役大統領がやってきたのだ。

 日本政府は「日本から参列するには、時間的に無理だった」(外交筋)と弁明するが、シラク死去は9月26日朝、国葬は30日午後だ。フランス政府は遠方からの参列者の時間的余裕も考慮して国葬の日程を設定しており、下手な言い訳にしか聞こえない。

日本は国際協定無視の発展途上国

 話を戻す。

 上記の「ゴーン奪還」の「呼びかけ」を見ると、いかにもフランス的レトリックに満ちている。

 「カルロス・ゴーンは法律の枠組みの上にいるわけでもなければ、特別な裁判の恩義が得られる立場であるわけでもない。しかし、彼には公正な裁判を受ける権利がある。事件勃発以来、主要国会議(G7)のメンバーである日本も批准している人権に関する国際的協定が何度も侵害されている」と指摘。それゆえ、ゴーンはフランスに送還され、「公正な裁判」を受けるべきだと主張している。

 日本は、まるで国際協定無視の発展途上国のような扱いを受けているが、「人権国家フランス」から見ると、そういうことになるらしい。昨年11月19日の羽田空港での逮捕以来のゴーンに対する処遇は、フランス人にとっては、「まったく信じられない処遇」(ジャン=マルク・エレル元判事)だからだ。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

山口 昌子

山口 昌子(やまぐち しょうこ) パリ在住ジャーナリスト

元新聞社パリ支局長。1994年度のボーン上田記念国際記者賞受賞。著書に『大統領府から読むフランス300年史』『パリの福澤諭吉』『ココ・シャネルの真実』『ドゴールのいるフランス』『フランス人の不思議な頭の中』『原発大国フランスからの警告』『フランス流テロとの戦い方』など。

山口 昌子の記事

もっと見る