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「もうひとつの徴用工」から日韓の解決策を探る

花岡事件の遺族や日中僧侶、70年ぶり行進/終わらぬ遺骨返還、続く賠償訴訟

市川速水 朝日新聞編集委員

一歩先を行く中国人強制連行問題

 1990年代に入って日本で急速に広まった戦後補償・戦時賠償要求運動のなかで、中国人強制連行問題は、具体的な進展があったという意味で、一歩先を行っている。

 使用側の鹿島の謝罪や賠償、記念施設設置を求めた花岡事件の場合、1990年から日本の弁護士らを通じて使用側の鹿島と交渉が始まり、1995年に鹿島を相手取って提訴した。

拡大東京タワーの近くを歩く中国人強制連行の被害者遺族と僧侶ら=2019年11月19日、筆者撮影
 紆余曲折はあったものの2000年に東京高裁で和解が成立。鹿島が中国赤十字会に5億円の信託金を払い、関係者の生活支援や追悼にあてることになった。特徴的なのは、原告11人だけでなく強制連行被害者986人全員を和解金の対象としたことだった。

 これが先例となり、民間企業と被害者・遺族との交渉・裁判は和解へと動き出した。

 京都・加悦町のニッケル鉱山の労働をめぐっては原告が日本冶金と和解(2004年)。広島・安野水力発電所工事や新潟・信濃川ダム工事で西松建設と和解(2009年、2010年)。さらに、三菱マテリアル(当時は三菱鉱業)が2016年、一部の元労働者との和解を決めた。大戦当時、10を超える事業所で約3700人という他社より格段に多い労働者を管理していた同社の決断は、日中関係の好転にも弾みをつけたといわれる。

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筆者

市川速水

市川速水(いちかわ・はやみ) 朝日新聞編集委員

1960年生まれ。一橋大学法学部卒。東京社会部、香港返還(1997年)時の香港特派員。ソウル支局長時代は北朝鮮の核疑惑をめぐる6者協議を取材。中国総局長(北京)時代には習近平国家主席(当時副主席)と会見。2016年9月から現職。著書に「皇室報道」、対談集「朝日vs.産経 ソウル発」(いずれも朝日新聞社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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