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日韓を比較することに疲れた私

旦那は在日コリアン、私は日韓ダブル、そして子どもたちは二重国籍…

藏重優姫 韓国舞踊講師、仁荷工業専門大学語学教養学科助教授

末っ子が託児所で身につけたもの

 家族四人のハード面での違いは大まかには以上のようなものであるが、最近、子どもの成長につれてソフト面での違いも見えるようになってきて面白いと思う。

 日本で生まれ育った私とダンナは考え方が似ている。コミュニケーション方法や問題に対する対処方法が似ている。しかし、少し違うのが、小学5年生の上の子だ。

 以前のコラム『思った事をすぐ口に出す韓国の「伸びしろ」』でも触れているが、上の子は「イヤ!」「ダメ!」「一緒にやりたくない。」などと友達にはっきり断ることができる。

 これは、私やダンナにとっては、ストレスを感じながら相当頑張らないとできないことだ。それを難なくやってのけている娘を見ると、押しが強く(私から見ると)自己主張のはっきりしている、韓国の影響をしっかり受けて、それを自分のものにしているのが見えてくる。

 それに輪をかけるのが、小学1年生の末っ子である。彼女が2、3歳の時、彼女が取った行動にダンナと思わず顔を見合わせたことがある。スナック菓子をもらった末っ子は菓子を一つ手に取り、私や周りの人にまず食べさせようと差し出したのである。

 この習慣(習性)は韓国の独特な文化で、特に食べ物などは周りの人と一緒に分けて食べようとする。逆に一人で食べていると、おかしな目で見られることがある。私は、この分け与える精神を良いものとして捉えているのだが、娘はその習慣を韓国の託児所で自然と身に付けていた。私たち親には無い習慣であるから、良いことだと喜んだものである。

 末っ子は10か月の時から毎日約7時間ほど韓国の託児所に預けていたので、食生活も「ザ・韓国」であった。

 洋食はあまり口には合わないらしく、みそ汁などの汁物にご飯を混ぜて食べるのが好き。朝、パンを食べさせようものならプイとそっぽを向いた。ケーキやクッキーより蒸しパンやお餅、茹でたり蒸したトウモロコシやサツマイモが好きだった。

 うちの家庭は、多文化家庭(韓国では国際結婚した家庭を多文化家庭と呼ぶ)で、ダンナは韓国伝統音楽が職業で、韓国でも「変わった」家庭に思われている。

 そんな私たちでも「韓国寄り」「日本寄り」が垣間見れて面白い。私からすると、特に末っ子は、私には無い行動パターンや考え方なので、たまに宇宙から来た異次元の人間みたいに不思議に思えることもあるのだが、違いを見つけるたびに感心したり面白がったりできるし、また私には持ち得ない韓国独特の文化や社会の影響を受けて育っている姿にたくましさをも感じる。

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筆者

藏重優姫

藏重優姫(くらしげ・うひ) 韓国舞踊講師、仁荷工業専門大学語学教養学科助教授

日本人の父と在日コリアン2世の間に生まれる。3歳からバレエ、10歳から韓国舞踊を始め、現在は韓国にて「多文化家庭」の子どもを中心に韓国舞踊を教えている。大阪教育大学在学中、韓国舞踊にさらに没頭し、韓国留学を決意する。政府招請奨学生としてソウル大学教育学部修士課程にて教育人類学を専攻する傍ら、韓国で舞台活動を行う。現在、韓国在住。日々の生活は、二児の子育て、日本語講師、多文化家庭バドミントンクラブの雑用係、韓国舞踊の先生と、キリキリ舞いの生活である。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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