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民主派大勝で頑なになる中国。香港に活路はあるか

民主派が親中派を圧倒した区議選の後も続く香港デモ。出口が見えない民主化運動

藤原秀人 フリージャーナリスト

香港区議選の変容

 それが一変したのが、2003年の選挙だった。

 董建華行政長官(当時)が国家分裂の動きを禁じる「国家安全条例」の制定を目指したことに、住民が反発して大規模なデモが起き、その勢いに乗って民主派が躍進した。区議会選挙は条例制定とは関係ないが、直接選挙によって「民意」が明確が示されたのである。

 前回20015年の区議選では、民主化デモ「雨傘運動」に参加し「傘兵」と呼ばれた若い候補が当選するなど、政治色が濃くなった。とはいえ、当時の朝日新聞の扱いは「香港で地方選/民主派議席増」との見出しで、ベタ記事の扱いだった。

 それから4年後の今年、香港区議選が新聞の一面に取り上げられるようになるとは、私も想像だにしなかった。

 政治は本当に生き物だ。

民主党は踏ん張りどころ

 民主派大勝を受け、支持者のなかには、シャンペンをあけて盛大に祝った人もいた。だが、喜んでばかりはいられない。

 来年の立法会選挙は、区議会とは制度が違うので、民主派の今の勢いがそのまま反映されるわけではない。そして民主派の新しい区議には、「素人」が少なくない。住民ときめ細かく接触し、要望を聞き、意見を吸い上げ、当局に働きかけるという地道な仕事に耐えられるかどうか。

 だが、区議会議員として成功すれば、小さな選挙区は民主活動の鋼のように強い拠点になり得る。民主派にとって踏ん張りどころだ。

拡大当選を決めた民主派のトップ、「民間人権陣線」代表の岑子杰さん(左)=2019年11月25日、香港・沙田

自由な社会でウソはつき通せない

 親中派はどうか。

 中国メディアや中国共産党宣伝部の指導を受ける一部香港メディアは、民主派勝利を正直に伝えず、「選挙は公平でなかった」「妨害があった」などと報じた。しかし、香港の親中派は大人である。言論統制で真実が伝わらないことがある中国大陸とは違い、香港で選挙結果を知らない人はまずいない。

 自由な社会でウソはつき通せない。「惨敗を率直に認め、深く反省する」などの声が、親中派政治家からは相次いでいる。

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筆者

藤原秀人

藤原秀人(ふじわら・ひでひと) フリージャーナリスト

1980年、朝日新聞社入社。外報部員、香港特派員、北京特派員、論説委員などを経て、2004年から2008年まで中国総局長。その後、中国・アジア担当の編集委員、新潟総局長などを経て、2019年8月退社。2000年から1年間、ハーバード大学国際問題研究所客員研究員。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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