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桜を見る会で露呈した政治劣化と安倍政権の行く末

難局に立った「最長」内閣。勢いの回復は困難か。カギは内閣支持率と経済情勢

星浩 政治ジャーナリスト

安倍首相の説明後も止まらない疑惑

 相次ぐ追及に対し、安倍首相は急きょ、記者団に説明。①「桜を見る会」の参加者が増え、多くの後援会員を招いたことは反省し見直す②ニューオータニの前夜祭が5000円となったのはホテル側の判断であり、多くの人がホテルに宿泊することが考慮された。事務所から補填はしておらず、公選法違反には当たらない――などと述べた。そのうえで、2020年(来年)の「桜を見る会」は中止して、会のあり方を抜本的に見直すことを決めた。

拡大ジャパンライフが勧誘に使っていたとされる桜を見る会の招待状=大門実紀史参院議員提供
 それでも、疑惑追及は止まらない。マルチ商法で多くの被害者を出し、経営破綻した「ジャパンライフ」の山口隆祥元会長に招待状が出されていたことも判明した。

 ジャパンライフは、虚偽広告などで2014年に消費者庁から行政指導を受けていたが、15年春の「桜を見る会」に招待され、招待状をもとに安倍首相と山口元会長との親密さをPRするチラシを作成し、勧誘に使っていた。野党側は「この招待状がマルチ商法の被害をいっそう拡大した」と指摘している。

 さらに、野党側は「桜を見る会」には反社会勢力が参加し、菅義偉官房長官らと写真を撮っていたと追及。参加者の名簿などを公表するよう実務を担当した内閣府に迫った。しかし内閣府は、招待者名簿は5月にシュレッダーで破棄したと説明。招待者の詳細は明らかにされないままだ。

変わっていない安倍政権の体質

 一連の疑惑追及で明らかになった問題点は、
①税金で運営されている国の行事に招待される人が恣意(しい)的に選ばれ、とりわけ、安倍首相の後援者が多く含まれているのは公私混同、行事の私物化ではないか
②ジャパンライフのように招待状が悪用されたのもずさんな人選によるものではないか
③前夜祭が割安で開催されてきたのは公選法違反ではないか
④招待者名簿などが恣意的に破棄されているのは、公文書管理法に反するのではないか――などである。

拡大桜を見る会の招待者の名簿が廃棄された大型シュレッダーで、実際に800枚の紙を細断した野党の追及本部のメンバー=2019年11月26日、内閣府
 安倍政権は以前にも、森友学園に国有地を売却する際の関連文書をめぐり、財務省が安倍首相の夫人・昭恵氏などに関連する部分を削除し、厳しい批判を浴びている。また、安倍首相の“盟友”である加計孝太郎氏が理事長を務めていた加計学園の獣医学部新設をめぐっても、学部設置の規制緩和などで特別扱いがあったのではないかという疑惑が指摘された。

 安倍首相は「深く反省する」という釈明を繰り返したが、「桜を見る会」の問題で、またもや「権力の私物化」や「ずさんな公文書の扱い」が露呈したかたちだ。安倍政権の体質は変わっていないとの見方が、野党ばかりでなく、与党内にも広がっている。

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筆者

星浩

星浩(ほし・ひろし) 政治ジャーナリスト

1955年福島県生まれ。79年、東京大学卒、朝日新聞入社。85年から政治部。首相官邸、外務省、自民党などを担当。ワシントン特派員、政治部デスク、オピニオン編集長などを経て特別編集委員。 2004-06年、東京大学大学院特任教授。16年に朝日新聞を退社、TBS系「NEWS23」キャスターを務める。主な著書に『自民党と戦後』『テレビ政治』『官房長官 側近の政治学』など。

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