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小沢一郎「このまま死ねない」そして山本太郎

(25)民主党は役人に「お金がない、お金がない」と言われ終わってしまった

佐藤章 ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

頓挫した「町づくりに農協を」構想

小沢 土地改良予算を削ったことも、それだけが目的でやったんではないんです。戸別所得補償制度を飲ませるためにやったわけです。財務省は、土地改良を削ることには賛成ですから。ぼくが「(土地改良を)切れ」と言って、財務省が「わかりました」と答えたわけです。

 財務省の官僚はいろいろなことを言ってもやはり賢明だから、きちんとした論理的なビジョンを持って説得すれば、きちっとした仕事をするんです。

 ただやみくもに駄目なことを言ったって、反論されて言いくるめられちゃうだけです。きちんとした論理ときちんとしたビジョンを持って、こういうふうでこうだからこうやれって言えば、最終的にちゃんと言うことを聞くんです。

――農水省やその周辺には改良事業でメシを食っている人たちがいっぱいいるでしょう。相当抵抗はなかったですか。

小沢 そりゃ抵抗しますよ。

――するんですか。

小沢 大変だったと思います。だけど、ぼくはそういう人とはしゃべりませんから。財務省は基本的に削るのは喜ぶわけだから、あの時は本当に大変だったと思いますよ。

――小沢さんの耳にはそういう声は入って来なかったですか。

小沢 (声は)挙がってきました。地元の人たちにもいっぱい会いますから。

――そうですね。私も2010年の参院選の時、小沢さんについて山陰地方に行きましたが、その時に、山陰の農業者の方から圃場整備事業について随分話を聞いたんです。けっこう文句を言っていました。半分圃場整備をしたんだが、まだ半分残っている、どうしてくれるんだというような話でしたね。

小沢 だけど、あれは全国的に言えば土地改良の食いぶちになっているんです。だから、ぼくは基本的には土地改良と農協の組織を一緒にしたらどうかと言っているんです。これは政権を取っていればできることなんだけど「権限を持たせて町作りに農協をかませろ」と言っているんです。農協は一番の地主ですから。

――それは面白いやり方ですね。

小沢 ところが、そうなると今度は国土交通省と農水省の権限争いになるんです。それで、町作りや区画整理などでやることはいっぱいあるんだから、農協をスリムにして余計なことをさせないで「権限を持たせろ」と農水省に言ったんです。

 それで交渉をやらせたんだけど、最初から権限争いで大変な騒ぎで、そう簡単にはできなかったですね。このころは検察の邪魔もあったし、返す返すも残念無念です。

 ――さきほど財務省のお話しがありましたが、財務官僚は小沢さんの前では「お金がない」とは言わないということでした。小沢さんが財務省自体や国の財政の実態をよく知っているから、ということでしたね。

小沢 その代わり、ぼくはむちゃくちゃなことは言いません。基本的には「不要なものは切れ」ということです。

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筆者

佐藤章

佐藤章(さとう・あきら) ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

ジャーナリスト学校主任研究員を最後に朝日新聞社を退職。朝日新聞社では、東京・大阪経済部、AERA編集部、週刊朝日編集部など。退職後、慶應義塾大学非常勤講師(ジャーナリズム専攻)、五月書房新社取締役・編集委員会委員長。最近著に『職業政治家 小沢一郎』(朝日新聞出版)。その他の著書に『ドキュメント金融破綻』(岩波書店)、『関西国際空港』(中公新書)、『ドストエフスキーの黙示録』(朝日新聞社)など多数。共著に『新聞と戦争』(朝日新聞社)、『圧倒的! リベラリズム宣言』(五月書房新社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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