消化不良の臨時国会。安倍首相の責任と野党の弱さ
説明責任を果たさない首相。内閣不信任案を出せない野党。国民の不信は高まるばかり
田中秀征 元経企庁長官 福山大学客員教授
「国民に理解されていない」と菅官房長官

記者会見で記者を指名する菅義偉官房長官=2019年12月9日、首相官邸
折から、JNNの世論調査の結果が永田町に衝撃を与えた。
それによると、安倍内閣の支持率が前月から5.2ポイント下がって49.1%になり、5割を割った。逆に不支持率は5.3ポイント上がって47.7%となった。「桜を見る会」に安倍首相が地元の支援者を招待したことについて、69%が「問題だと思う」と回答、「思わない」は25%にとどまった。また、この件での安倍首相の説明に「納得していない」は72%に達し、「納得している」は15%しかなかった。
この結果に、いつもは強気の菅義偉官房長官も9日の記者会見で、「残念ながら、国民に理解されていない」と認めるに至った。
そもそも証拠を隠滅するかのような“名簿の破棄”というとんでもない政府の対応を、世論が許すことはありえない。行政に対する国民の信頼は地に墜(お)ちつつある。「日米貿易協定などもっと大事な問題がある」という居直ったような論調も、かえって“世論の怒り”を買うかたちとなり、内閣支持率の低落につながっているように見える。
政治に対する信頼の回復こそがすべてに優先するということを、一般国民は知っているのである。
辞任閣僚より重い首相の説明責任
①総理大臣が、②多数の自分の支持者を、③税金を使って、④もてなした。それが、「桜を見る会」に関する一般的な認識だ。
これが“不当な認識”だというのなら、
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