ガーナにも「甲子園球場」ができた!(動画あり)
野球人、アフリカをゆく(18)アフリカ野球がもたらした予期せぬ変化とは
友成晋也 一般財団法人アフリカ野球・ソフト振興機構 代表理事
「野球をやる子は成績がいいのよ」

野球クラブに入っている選手たちにヒアリング。左端は体育教員。
モニタリングとして、巡回指導を行っている10校の学校を訪問し、校長先生と体育の先生がいれば体育の先生(アフリカでは体育教師がいない学校も多い)、野球部の選手たち(キャプテンなど)、そしてコーチたち自身に、準備したインタビューシートに基づき、ヒアリングを行った。それぞれの学校には、各チームのコーチにアポイントを取ってもらった。
ケイケイと訪れた最初の学校では、少し、いや、かなりふくよかな年配の女性校長がどしっと執務机に座って待っていてくれた。体育の30代とおぼしき男性教員も同席している。
「はじめまして! アフリカ野球友の会の代表の友成と申します。隣にいるのはガーナ野球連盟会長のアルバート・フリンポンです」
女性校長は、「遠くからようこそ!」と言いながら、にこやかな表情で椅子に着席を促し、「ガーナは初めて?」と気さくに質問してくれた。
「私は13年前まで3年間、ガーナに住んでいて、ナショナル野球チームの監督をしていたんです。アルバート会長は、当時のナショナルチームのキャプテンだったのです」と言うと、「あら、そうなの。あなたたちはガーナの野球を盛んにしてくれたのね」と優しそうな目で二人を交互に見る。話しやすい雰囲気ができたところで、さっそく本題に入った。
「今日来たのは、この学校で活動している野球クラブのことです。アフリカ野球友の会は、コーチを派遣していますので、モニタリングを行うため、いろいろ質問させてください」
「野球クラブのことね。コーチは熱心によくやってくれているわ」とのっけから好感触である。手元にあるインタビューシートにそって質問をする。校長先生や体育の先生の名前、野球クラブの活動の内容、コーチの指導の様子と評価、謝金の支払いの有無、などなど。次の質問は少し抽象的だ。
「野球部ができてから1年ちょっとですが、部員の生徒たちになにか変化はありましたか?」。校長先生は、ちょっと宙を見上げ、少し間をおいてから「変化、あったわ」と言い切った。
「どんな変化でしたか?」と訊き返すと、間髪入れず、意外な答えを返した。
「野球をやる子たちは成績がいいのよ」
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