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総統選が目前。選挙を通じ強まった台湾の民主社会

経済力は大陸に遠く及ばなくなったが、大陸にない民主社会は発展を続ける

藤原秀人 フリージャーナリスト

総統選一色に染められている台湾

 大小さまざまな選挙集会が各地で開かれ、あちこちに選挙ポスターやのぼりが並ぶ。テレビでは選挙番組が延々と続く。台湾は選挙一色に染められているように見えるが、この四半世紀、台湾の選挙を追いかけてきた私には、民進、国民の両党が文字通り衝突し、「台湾燃える」といわれたような選挙フィーバーぶりは伝わってこない。それは、選挙を重ねることで、主張の違いを静かに尊重するようになったという、台湾社会の民主的な成熟の証しといえよう。

 ただ、選挙戦が穏やかなまま終わるとは限らない。台湾統一を悲願とする中国共産党が選挙に今回も「参戦」し、選挙戦の波乱要因になりかねないからだ。

 12月21日、南部の高雄で蔡氏と韓氏を応援する集会と行進があった。主催者側の発表だと、それぞれに50万人と35万人が参加した。私はドローンによる空撮を駆使したライブ中継をネットで見た。実際の参加者は定かではないが、高雄の歴史で最大のイベントには違いないようだ。

 民進党のシンボルカラーである緑の長大な幕を掲げた行列がひときわ目立つ。中継によれば、長さは210メートルという。「光復高雄」(高雄を取り戻そう)と書かれている。「光復香港」のまねだ。昨年の高雄市長選で国民党の韓氏に敗れた民進党は、韓氏を「嘘が多い」「金満だ」などと批判、高雄を取り戻そうとリコールを呼びかけている。

 一方の国民党は真っ赤に染まっている。参加者のおそろいのシャツの色がその色だからだ。かつて中国大陸を統治した国民党の正式名称は、いまでも「中国国民党」であり、「中華民国」という名前を大切にする。赤は民国国旗「晴天白日満地紅旗」の「紅」だ。

拡大国民党の総統候補、韓国瑜氏の集会で声援を送る支持者たち=2019年12月21日、台湾・高雄

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筆者

藤原秀人

藤原秀人(ふじわら・ひでひと) フリージャーナリスト

1980年、朝日新聞社入社。外報部員、香港特派員、北京特派員、論説委員などを経て、2004年から2008年まで中国総局長。その後、中国・アジア担当の編集委員、新潟総局長などを経て、2019年8月退社。2000年から1年間、ハーバード大学国際問題研究所客員研究員。

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