数々の疑惑のなか、秋元司逮捕で見えるもの
2019年12月26日
秋元司衆院議員はカジノを含む統合型リゾート施設(IR)への日本参入を目指していた中国企業の外為法違反事件に関連し、便宜を図る見返りに現金数百万円を受け取った疑いが強まったとして、12月25日、逮捕された。
秋元氏は即座に自民党に離党届を提出、受理された。国交省副大臣としてIRを担当、職務権限を有していた秋元氏に対する贈収賄事件に発展、今後が注目される。
さて、そもそも秋元司衆議院議員とはどんな人物なのだろうか。
大物政治家の世襲議員でもなく、また大臣を経験した訳でもなく、地元の選挙区である東京15区(江東区)以外ではよっぽどの政治通でなければ顔を浮かべることはできないのではないだろうか。
衆議院議員としては「3期生」。しかし、2012年で初当選したいわゆる「魔の3期生」とは違う。2004年から一期参議院議員を経験しているのだ。その際は自民党の比例代表候補として30万票以上を集め、竹中平蔵の次、つまりは自民党第2位で当選している。
ところが、6年後の改選時には得票を22万票余り減らし8万票で落選。現職有利と言われる選挙。有力団体が他候補についた等の事情もあるだろうが、自民党関係者によればそれは秋元氏の実力ではなく、単に「あいうえおの法則」ではないかと言われていたという。
選挙で「あいうえおの法則」と言うのは、全国比例名簿の名簿記載順と当選の因果関係のことだ。政党支持者で比例区では誰に入れていいかわからない人は自動的に最初に名簿に書かれた名前に投票するから、あ行の名前は有利という「法則」である。
「秋元司(あきもとつかさ)」。
確かに2004年、当選した際の候補者名簿では秋元氏が最も右側に記載された。2010年の落選時には「秋元司」の前に「赤石清美(あかいし清美)」がいた。赤石氏は10万票あまりを獲得、法則通りに最下位ながらも当選し、落選した秋元氏とは明暗を分けた。
2010年の参議院選挙で落選した秋元氏は、その後衆議院へと転出を図る。そして2012年、野田内閣での解散総選挙で当選。しかし、この時の衆議院選挙は民主党に逆風が吹いており、東京25小選挙区のうち22選挙区は自民党・公明党の現与党候補者が圧勝している。
落としたのは長妻昭氏、長島昭久氏、柿沢未途氏がいる3選挙区だけだが、秋元司はまさに柿沢氏の選挙区で、重複立候補での比例復活当選だった。
保守系議員にとって選挙が弱い、厳しいとなると、やることは一つである。
「(秋元氏だけでなく)自民党の議員はいかに陳情をさばくか。政策秘書や地元秘書を窓口に、支援してくれる企業と官庁の担当者をつなぎ恩を売ることは日常業務となっている」
就職・縁談も含めた陳情をさばき、有権者と切っても切れない関係を作る…いわば古い自民党が行ってきた陳情政治を徹底的に行うことが今も
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