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欧州を巡り米中が火花

 離脱派がSPDの主導権を握ったことで、メルケル政権の先行きは一気に不透明になってきた。仮に、なんとか2021年の任期満了まで持ったとしても、今後レームダック化が進行し大きな決断を下せなくなる可能性が十分ある。英国がEUから離脱し、フランスも国内がいま一つ安定しない中、ドイツまでもが安定を失いつつあるというのが今の欧州の姿だ。米国との大西洋同盟の足元が揺らぎ、それを見透かしたかのようにロシア、中国が攻勢をかける。中国はふらつく欧州を一帯一路でからめ捕ろうと狙っているかのようであり、既に進出の勢いはイタリア、ギリシャ、バルカンに達している。これを更に欧州中心部に浸透させようというのだ。5Gのファーウェイ排除等、米国は中国の影響力排除に躍起だが欧州の対応はいま一つはっきりしない。欧州を巡り、米中が火花を散らしているのが今の世界政治だ。今回のドイツの出来事は、そういう世界政治の動きの中で理解されるべきである。

過去を向いて生きているSPD

 視点を戻し、ドイツ政治を考えてみたい。第二のポイントは、SPDの党としての在り方である。

 SPDの凋落ぶりは目を覆うほどだ。かつて40%を超える支持率を誇り、ブラント、シュミットといった練達の政治家を輩出した。いかに人材が底をついたとはいえ、連邦政治の経験もなく、州首相を経たわけでもない無名の政治家をトップに据え、存亡の危機を乗り切るしかないというのだから、その落ち目ぶりが分かろうというものだ。既に左翼陣営の代表ポストは緑の党に奪われた。現在、緑の党は23%程度の支持率があり、SPDははるか後ろから追いかけている始末だ。仮に「緑の党、SPD、左派党」の左翼連立が成立してもSPDは緑の党のジュニアパートナーでしかない。

 確かに緑の党とSPDを比べると、有権者に対するアピールという点で、両者は天と地ほどの開きがある。今の時代の流れを決するのは二つの要素、すなわち、「環境」と「デジタル」だ。この二つの分野にいかに切り込み優位に立つかが、国家の存立にとり今や不可欠といって過言でない。政党は、そういう時代の空気を読み、果敢に課題を設定し挑戦していかなければならない。しかし、

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筆者

花田吉隆

花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授

在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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