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国家中心からグローバル・コミュニティーの時代へ

ポスト冷戦時代を読む(3)米ハーバード大学名誉教授 入江昭さん

三浦俊章 朝日新聞編集委員

何が変わったのか︖

――1970年代に何が変わったのでしょうか。

 人権の問題を例に考えてみましょう。1948年の国連総会で、「世界人権宣言」が採択されました。世界人権宣言は、人種・性・宗教などによる差別を禁止しています。しかし、現実はどうだったでしょう。当時はまだ植民地もありました。

 アメリカでも、公民権運動の時代の前ですから、黒人の差別は根強かった。国際関係は、超大国の男性のリーダーが支配していました。人権といっても、人類の半分を占める女性は入っていなかったのです。1948年の時点では、人権はグローバルになっていないのですね。1970年代になって、ようやく人権の議論が深まったのです。

 70年代のもうひとつの特徴は、宗教です。今まではキリスト教の国家が中心だった。そこにイスラム諸国、中国、インドなど西洋以外の世界が入ってきた。今までのように、国と国とのつながりだけで歴史を見ていると、女性からの視点、宗教からの視点を見落としてしまう。

 さらに多国籍企業やNGOなど非国家的な存在、国境を越えた人間の活動をみていかねばなりません。喫緊の課題である環境問題やテロリズムの問題も、国家を単位として考えているだけでは理解もできませんし、解決策も出てきません。

時代遅れになった国家中⼼の⾒⽅

拡大庭に立つ入江昭ハーバード大名誉教授=ペンシルベニア州自宅(筆者撮影)
――現実の世界はグローバル化しているのに、その反動なのでしょうか、領土問題などナショナリズムが再び燃え上がっているように見えますが。

 それは時代遅れの思考法だと思います。

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筆者

三浦俊章

三浦俊章(みうら・としあき) 朝日新聞編集委員

朝日新聞ワシントン特派員、テレビ朝日系列「報道ステーション」コメンテーター、日曜版GLOBE編集長などを経て、2014年から現職。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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