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例年通りではない2020年政局の本当の対決構図

「疑似政権交代」と「二大政党制」。どちらが令和政治の主流になるのか?

曽我豪 朝日新聞編集委員(政治担当)

本当の勝者と本当の敗者

 その理由を朝日新聞の石川真澄・元編集委員は、「一言で言えば社会党があまりにも変わらなすぎた」と喝破する。

 社会党の江田三郎書記長が現実路線に立つ構造改革論を「江田ビジョン」としてぶち上げたのは、池田政権下の1962年だった。だが、党内左派が徹底抗戦。結局、資本主義に否定的態度をとり、階級対立を強調する社会党綱領をまとめたのは、黒い霧解散前年の66年だった。

 石川氏は容赦ない。

 「経済の高度経済成長期に入って社会構造や国民の意識が大きく変わる時期になっていたのに、それに適応しようとせず、古い左翼の教条にこだわりつづけた」。

拡大伊勢神宮を参拝したのち、記者会見に臨む佐藤栄作首相=1969年1月4日、三重県伊勢市
 朝日新聞の後藤基夫・元東京編集局長の証言は重い。親交の深かった佐藤栄作について「保守的な中核をつくるという吉田(茂元首相)の路線を引き継いだ」と指摘したうえで、佐藤の意識は「あるときには革新というか左派に対して猛烈に敵対する。ときには緩和策をとる。そうやりながら保守の視野を拡げながら、ひとつの牙城をつくる」ものだったと総括するのである。

 黒い霧解散の本当の勝者は、保守的な中核、経済成長で生まれた中間層を獲得し、「政権交代」を党内だけに収める、換言すれば「疑似政権交代」にとどめることに成功した自民党であった。そして、本当の敗者は、教条主義に偏して現実的な経済政策の対案を出せなかった社会党であり、さらに言えば昭和の政党政治が果たせなかった「二大政党制」論だった。

自民党の本当の狙いは

 さて、今日の政局である。

 転換期が重なる「特異年」における自民党の本当の狙いを、安倍首相の盟友・麻生太郎副総理兼財務相は以前から公言している。

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筆者

曽我豪

曽我豪(そが・たけし) 朝日新聞編集委員(政治担当)

1962年生まれ。三重県出身。1985年、東大法卒、朝日新聞入社。熊本支局、西部本社社会部を経て89年政治部。総理番、平河ク・梶山幹事長番、野党ク・民社党担当、文部、建設・国土、労働省など担当。94年、週刊朝日。 オウム事件、阪神大震災、など。テリー伊藤氏の架空政治小説を担当(後に「永田町風雲録」として出版)。97年、政治部 金融国会で「政策新人類」を造語。2000年、月刊誌「論座」副編集長。01年 政治部 小泉政権誕生に遭遇。05年、政治部デスク。07年、編集局編集委員(政治担当)。11年、政治部長。14年、編集委員(政治担当)。15年 東大客員教授

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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