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ゴーン氏の「日本の司法制度は不正義」は本当か?

ゴーン氏の逃亡、“伊藤詩織さん事件”から浮かぶ日本の刑事司法・行政制度の問題

米山隆一 前新潟県知事。弁護士・医学博士

拡大保釈後、車で都内を移動するカルロス・ゴーン被告=2019年3月6日

 逮捕され保釈中だったカルロス・ゴーン元日産会長が、保釈条件を破ってレバノンに逃亡し、衝撃的な声明を発表して1週間以上がたちます(朝日新聞デジタル2019年12月31日

I am now in Lebanon and will no longer be held by a rigged Japanese justice system where guilt is presumed, discrimination is rampant, and basic human rights are denied, in flagrant disregard of Japan’s legal obligations under international law and treaties it is bound to uphold. I have not fled justice – I have escaped injustice and political persecution. I can now finally communicate freely with the media, and look forward to starting next week.

(日本語訳)私はレバノンにいる。私は最早、法と条約により守られなければならないはずの法的義務が明白に破られ、有罪が推定され、差別が横行し、基本的な人権が無視される、有罪が仕組まれた日本の司法制度に囚われてはいない。私は正義から逃げたのではない、不正義と政治的迫害から逃れたのだ。私はついに自由にメディアと連絡できるようになった。来週から始める事が楽しみだ。

 逃亡から現在に至るまでの間に、ゴーン⽒の出国の様⼦が次第に明らかになっています。逃亡それ自体の罪を問えるかは微妙なところもありますが(保釈時の逃亡それ自体は、新たな罪ではありません。ただし、出国の記録がないことから、少なくとも出入国管理法25条2項・71条の密出国で「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金」に該当すると推測されます)、保釈条件を破ったことは間違いなく、ゴーン氏の行為が容認しがたいものであることは論を待ちません。

 しかし、一方で、ゴーン氏が掲げた声明にかかれている日本の刑事司法・行政の欠陥に対する不信を全否定することは難しく、少なくとも「三分の理」を認めざるを得ないことがこの問題を極めて難しくしています。私自身は必ずしも刑事裁判の経験が豊富だとは言えませんが、ゴーン氏の事件のみならず、直近の伊藤詩織氏の事件で問題となった検察審査会問題を含め、日本の刑事司法・行政制度に内在する問題点について、論じたいと思います。

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筆者

米山隆一

米山隆一(よねやま・りゅういち) 前新潟県知事。弁護士・医学博士

1967年生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学系研究科単位取得退学 (2003年医学博士)。独立行政法人放射線医学総合研究所勤務 、ハーバード大学附属マサチューセッツ総合病院研究員、 東京大学先端科学技術研究センター医療政策人材養成講座特任講師、最高裁判所司法修習生、医療法人社団太陽会理事長などを経て、2016年に新潟県知事選に当選。18年4月までつとめる。2012年から弁護士法人おおたか総合法律事務所代表弁護士。

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