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ゴーン大脱走取材でベイルートへ

[171]NHK・FMとEテレ、富山、ベイルート、ゴーン被告の邸宅……

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

1月1日(水) 2020年になった。元日に家にいたのは何年ぶりのことだろう。何となくテレビをつけると、ニューイヤー駅伝をやっていた。この方が白痴的な初笑い新年バラエティよりずっといいや。朝日新聞を読んだけれども、ゴーン大脱出以外にあんまり読む記事がない。

 我が家に滞在中の義妹と姪があしたからベトナムとカンボジアを旅行するので、今日中に成田に移動する。リムジンバス乗り場に午前中に移動していった。僕は何だかボーっとしていて、午後になってから近所の温泉浴場に行った。お天気が良かったので、本当にボーっとして露天風呂につかって静かにしていた。結構混んでいた。おんなじような環境の人がいっぱいいるんだろう。

 午後、ひょんなことからNHKのFMで坂本龍一さんのラジオがあるのを知ってそれを聴いていた。これがとても中身が濃かった。平野啓一郎とか安富歩とか。おちゃらけのお喋りではなくて。しかも坂本さんもきちんと準備をして対話に臨んでいた。安富さんとの対話はなかなか面白かった。

 夜もEテレの「100分de名著」の「ナショナリズム」というのを見始めたが、稲垣吾郎らを聞き手にする構図が何だか業界っぽくて、途中から「細野晴臣イエローマジックショー」に切り替えてしまった。ハラホロヒレハレの脱力感満載でいい気持ちになった。面白いのは、「ゴーン大脱出」に対して、リベラル陣営の人たちの中に本気で怒っている人が結構いたことだ。自由じゃないよね。勧善懲悪ってイヤだな。

1月2日(木) 朝、5時半に起きて、リムジンバスに乗って羽田へ。老母と弟のいる富山へ向かう。魯迅の「狂人日記」「阿Q正伝」を読みながら。富山市は静かだったが、結構お店が開いているではないか。ダイワという地元老舗デパートもやっている。

 ゴーン関係で情報収集。8日にベイルートで記者会見を開くとの情報あり。行かない手はない。箱根駅伝チラ見。午後になってベイルート行きが決まる。某氏の尽力に頭が下がる思い。

婦人科医デニ・ムクウェゲさんが暮らすコンゴ東部拡大『沈黙は共犯 闘う医師』は、コンゴで性暴力と闘う婦人科医デニ・ムクウェゲさんを紹介している=NHK・Eテレのホームページより
1月3日(金) 朝から雨が降ったり止んだり。テレビは駅伝しか見るものがないなか、NHKのEテレで、鎌倉英也さんの『沈黙は共犯 闘う医師』再放送をみる。道傳愛子さんが聞き手のインタビューが中心になっていた。ほんのわずかでも#MeTooへの言及があればなあと思ってしまった。

 レバノン行きの準備。こんななかで、驚愕のニュース。アメリカのトランプ大統領がイラン革命防衛隊のスレイマニ将軍を空爆で殺害したと発表。戦争をやる気か。狂気の沙汰だ。こんな政治的暗殺が堂々と罷り通るなら、国連はいらない。おそろしい世の中になったものだ。だが戦争屋たちは喜ぶだろう。あの軍事評論家とか、あの自称・国際ジャーナリストとか。軽薄なテレビに呼ばれて、暗殺じゃなくて正当防衛だとか言い出すだろう。

 弟が実家を整理していたら出てきたという1974年ごろのカセットテープを聞いてみたら、まだマイナーだったころのタモリが出ている林美雄のパックインミュージック祭みたいなラジオ番組が録音されていた。これが今聴いても滅茶苦茶に面白い。TBSラジオの黄金時代じゃないだろうか。ゲストに荒井由実と石川セリ。田中角栄の記者会見を中国の通訳(なぜか口調が角栄なのだ)が訳すという出し物が、これまたスゴイのだった。ギャグの自由。こんな自由があの時代にあった。夕刻より、チューリップテレビのHさん。時は流れ、人はまた去る、思い出だけを残して(©江戸アケミ)。

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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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