本気で「日本を変えたい」なら
2020年01月20日
「秘書が違法性認識」等、河井克行衆議院議員・案里議員参議院議員夫妻に関するウグイス嬢への「日当過払い問題」の捜査が進んでいる様子が連日報道されている。
過日、2ヶ月ぶりに公に姿を現し、それぞれ記者の質問に答えた二人だが、ことここに及んでも「日本を変えたいんです」という案里参議院議員の「火星人」ぶりが際立ったこともあり、河井夫妻は「桜を見る会」や「閣僚辞任」も含めた政権与党への不信の渦の中で集中砲火、ヒール役を引き受けた感もある。自民党関係者の中では「してやったり」と思っている人も多いのではないか。「桜を見る会」疑惑の安倍総理もその一人かもしれない。
しかし、「桜を見る会」が示している問題と「ウグイス嬢過払い問題」が示している問題の深刻さは全く違う。選挙がらみで違法性が疑われるという点では同じだが十把一絡げに論じてはならない問題なのだ。ここは国民も冷静に見なければならない。
まず、「ウグイス嬢過払い問題」は「労働問題」だという認識を共有したい。
地方選挙から国政選挙に至るまで、ウグイス嬢の相場は「基本3万円」とされ、少なからずの、いや多くの選挙事務所では河井夫妻同様、違法と認識しつつも、支払日を労務が生じていない選挙前の期日にしたり、労務が発生している場合はその際に上乗せするなどの工夫をしながら、法定費用の1万5千円以上を支払っているのが現状である。
なぜなら、単純な話だ。「1万5千円」という法定額がその労務に対して低すぎる、と雇う側(候補者)も雇われる側(ウグイス嬢)も思っているからである。これは所属する政党、個人か組織か等も関係なく〝商慣行〟として行われているということは、本サイトの記事「ウグイス嬢二重報酬をめぐる選挙の「商慣行」」ですでに書いた。
つまり、この問題は「運動員買収」として捜査の対象となっているが、ウグイス嬢にとっては「正当な報酬」を受け取っていただけで、「買収された」という認識などさらさらないであろう。
たとえばウグイス嬢が選挙区内の有権者で、過払い分をもらったことによってその候補者に投票することに誘導されたり、誰かに投票依頼をしたりといった行為を行なった場合は「買収」だろうが、最近のウグイス嬢は皆「仕事」と割り切っている。昔はよく、禁止されている車外に出てビラ配り等の活動も手伝っていたウグイス嬢が多かったが、スマホの普及以来は動画や写真で証拠を撮られ相手陣営から通報されるということもあるのでコンプライアンスが徹底し、ウグイス嬢は車上から声を出したり手を振ったり以外はほぼしない、できない状況になっている。
つまり候補者との関係で言えば、「運動員買収」先としてはもはや成立しない相手となっているのだ。
3万円払っていた候補者陣営のほとんども、違法性を認識しながらも「買収」ではなく「正当な日当」を払っただけで、いう感覚だったと思う。
はっきり言えば、ウグイス嬢の日当に上限を設ける必要なんてないのである。理由の一つは
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