星浩(ほし・ひろし) 政治ジャーナリスト
1955年福島県生まれ。79年、東京大学卒、朝日新聞入社。85年から政治部。首相官邸、外務省、自民党などを担当。ワシントン特派員、政治部デスク、オピニオン編集長などを経て特別編集委員。 2004-06年、東京大学大学院特任教授。16年に朝日新聞を退社、TBS系「NEWS23」キャスターを務める。主な著書に『自民党と戦後』『テレビ政治』『官房長官 側近の政治学』など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
衆院解散・総選挙をにらんで憲法改正論議は下火に。首相退陣で活路を開くか?
通常国会が1月20日に召集された。安倍晋三首相主催の「桜を見る会」での公私混同、カジノを含むIR(統合型リゾート施設)の誘致に絡む贈収賄事件、河合克行前法相夫妻の公職選挙法違反など政治とカネをめぐる問題……。野党やメディアにとっては「突っ込みどころ満載」の国会である。6月17日までの150日間、与野党の攻防が熱を帯びるのは間違いない。
そうした「疑惑」をよそに、安倍首相は「憲法改正」を進めようと躍起だ。憲法9条に自衛隊の存在を明記する改正を繰り返しアピールしている。20日の施政方針演説でも、日本がどのような国を目指すのかという案を示すのは国会議員の責任だとして、憲法審査会の場で議論を進めるよう呼びかけた。
だが、自民党総裁の任期切れを2021年秋に控え、求心力を弱めつつある安倍首相の手による改憲には、自民党内からも疑問視する声があがる。与党の公明党でも、慎重論が強まっている。政治状況を冷静に分析すれば、安倍首相による憲法改正は無理な事情が浮き彫りになる。その構図を描いてみよう。