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世界はどこへ行く、そして日本は?

トランプ大統領は再選を目指し激しく動く。米国発のリスクが世界を覆う2020年。

田中均 (株)日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長/元外務審議官

米国の行方

 米国はどうだろう。考えてみれば8年間のブッシュ政権下では中東の戦争で甚大な人命の犠牲と財政の負担を生み、8年のオバマ政権では極めてリベラルな政策が保守層の強い反感に繋がり、リーマンショックは米国内の極端な貧富の格差を浮き彫りにした。

 米国の政治の変化は米国内に蓄積された大きな不満とそれに基づく分断が既成の政治勢力でも大企業出身でもない一匹狼的なトランプ氏を大統領に押し上げたということだろう。トランプ大統領が掲げる「アメリカ・ファースト」は米国が国際社会のために持ち出しをするのはもう嫌だ、ということだ。

 世界の安定といった迂遠なアプローチよりも短期的な米国の利益を優先する、米国は力が強いから、力で相手を押さえつけられる二国間のアプローチをとる、ということだ。新NAFTA、日米通商合意、米中貿易合意などトランプ大統領にして見れば偉大な成果というわけだ。

拡大ホワイトハウスで行われた米中貿易合意の署名式で演説するトランプ大統領=2020年1月15日、ワシントン

 中国との合意で貿易数値目標を作り人為的に輸入を増やすというのは管理貿易であり自由貿易の原則に反する、といった議論も虚ろに響く。

 スレイマニ司令官の殺害についても、公人を第三国で一方的に殺害する行為は国際法の認めるところではないといっても、トランプ大統領は、スレイマニ司令官が国際的テロリストだから、と殺害を正当化する。

 民主主義国では選挙が体制の変化を可能にする。11月の大統領選挙でトランプ大統領が再選されるのはそんなに簡単なことではない。

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筆者

田中均

田中均(たなか・ひとし) (株)日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長/元外務審議官

1969年京都大学法学部卒業後、外務省入省。オックスフォード大学修士課程修了。北米局審議官(96-98)、在サンフランシスコ日本国総領事(98-2000)、経済局長(00-01)、アジア大洋州局長(01-02)を経て、2002年より政務担当外務審議官を務め、2005年8月退官。同年9月より(公財)日本国際交流センターシニア・フェロー、2010年10月に(株)日本総合研究所 国際戦略研究所理事長に就任。2006年4月より2018年3月まで東大公共政策大学院客員教授。著書に『見えない戦争』(中公新書ラクレ、2019年11月10日刊行)、『日本外交の挑戦』(角川新書、2015年)、『プロフェショナルの交渉力』(講談社、2009年)、『外交の力』(日本経済新聞出版社、2009年)など。

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