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たかが絵文字、されど絵文字 その政治問題化

ユニコードに登録された国旗とされない国旗

塩原俊彦 高知大学准教授

 コンピューター上のテキストメッセージの標準を決める仕事を担う非営利組織、ユニコード・コンソーシアムは毎年、人々がスマートフォンやコンピューター上でemoji(絵文字)を利用しやすくするために新しく登録された絵文字を公表している。2020年には、ninja(忍者)も登場する予定になっている。

絵文字の歴史

 2019年10月29日、NTTドコモは携帯電話からインターネットやメールを利用できるサービス、「iモード」を2026年3月31日に終了すると発表した。このiモードにおいて誕生したのが世界中でemojiとして知られている絵文字である。最初に発明された176のオリジナル絵文字は2016年10月、ニューヨークにある近代美術館に永久保存されることになった。それを記念した展示も行われた。

拡大The original set of 176 emoji, which has been acquired by the Museum of Modern Art.Credit...Shigetaka Kurita, gift of NTT DoCoMo.

 その後2010年にユニコード・コンソーシアムが絵文字の管理を正式に担うようになる。2014年10月には、ホワイトハウスの経済諮問会議の報告書の表紙に絵文字が使われたほか、辞書編纂で有名なオックスフォード・ディクショナリーが選んだ「2015年の言葉」としてemojiが選ばれるまでになる。

 絵文字が世界中に広まるにつれて、絵文字の「政治化」が始まる。2014年以降の話だ。アフリカの伝統料理のインジェラやフフなどを表す絵文字が採用されたり、国旗が絵文字化されたりするようになるのだ。

拡大イスラエル(左)とパレスチナ(右)の国旗は絵文字として入力できる
 たとえば、イスラエルとパレスチナの国旗の絵文字の取り扱いについては、2国の国旗がそれぞれユニコードに登録されている。ゆえに、スマートフォンの絵文字キーボードからそれを簡単に使うことができる。英国については、2015年にユニコード登録を終え、2017年にはイングランド、スコットランド、ウェールズの旗も絵文字として登録された。ただし、北アイルランドを象徴するアルスター・バナーは絵文字になっていない。

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

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