連続爆破テロ事件で不安を強めた国民の期待担い。少数派イスラム教徒との融和はなるか
2020年01月25日
東洋の真珠と称えられる美しき国、スリランカ。
内戦を超え、平和が訪れていたかのように見えたこの国で昨年4月に発生した、連続爆破テロ事件では、日本人一人を含む250人以上もの犠牲者が出た。
国内でひそかに活動を広げていたイスラム過激派による犯行であることが発覚したが、平穏な仏教の国に何が起きているのか。昨年11月に行われた大統領選挙から、今後のスリランカの行方を上・下で読み解きたい。
インド洋の島国スリランカで2019年11月16日、5年の任期満了に伴う大統領選が即日開票され、ゴタバヤ・ラジャパクサ元国防次官(70)が、内戦時代に暗殺された大統領の息子であるスリランカ統一国民党(UNP)のサジット・プレマダーサ氏(52)を制して、得票率52%超で勝利をおさめた。
ゴタバヤ氏といえば、政府軍と主にヒンズー教徒で独立を訴えた少数派タミル人の反政府勢力との26年間に及んだ内戦時に、国防次官だった人物だ。2009年に内戦を終結に導いた“英雄”として、国民の人気も高い、マヒンダ・ラジャパクサ元大統領は兄に当たる。
選挙戦は白い衣装に赤い肩掛けが象徴的なマヒンダ元大統領を常に傍に伴い、共に戦った。内戦時代の虐殺関与説や汚職疑惑がある一方で、ラジャパクサ一族の人気は衰えを見せない。人口の75%ほどを占める主に仏教徒のシンハラ人の熱烈な支持を背景に、過半数の得票を獲得。ラジャパクサ一族の政権返りを実現した。
公約に掲げていた通り、ゴタバヤ氏は就任早々、兄のマヒンダ元大統領を首相に任命。大統領と首相が兄弟という、稀有な政権が誕生した。マヒンダ首相は財務・経済開発相など複数の閣僚を兼任するほか、兄のチャマル氏も国内交易・食糧安全保障・消費者福祉相などの閣僚をつとめることが決まり、ラジャパクサ一族による政権支配が復活するのではないかという懸念の声も上がっている。
有料会員の方はログインページに進み、デジタル版のIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞社の言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください