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迫る日韓「Xデー」、日本企業の資産売却の危機

亀裂広げた両首脳の誤算と無策、目標は「先延ばし」に

箱田哲也 朝日新聞論説委員

差し押さえられた日本企業の資産、現金化の危機

 日本と韓国の両政府は、いつ炸裂するかわからない爆弾を抱えたまま、新年を迎えた。

 韓国大法院(最高裁)が2018年秋に、日本企業に元徴用工らへの賠償を命じる判決を出し、原告が韓国内の日本企業の資産を差し押さえている問題だ。

 これまでの政府間協議で論点はほぼ出尽くしている。根本的な解決の道筋を描くには、双方の政治指導者による政治判断が欠かせないが、どちらもそれができない。

 互いの国内事情から、激しくやり合う場面は消えた。しかし、すでに差し押さえられている日本企業の資産は近く、売却(現金化)が可能になる。「Xデー」は刻々と迫る。両政府の間では、その先延ばしが当面の目標になりつつある。

日韓拡大衆院本会議で施政方針演説をする安倍晋三首相=2020年1月20日

 安倍晋三首相は1月20日、通常国会の施政方針演説で韓国について「元来、基本的価値と戦略的利益を共有する最も重要な隣国」とした上で、「であればこそ、国と国との約束を守り、未来志向の両国関係を築き上げること切に切に期待」すると述べた。

 安倍首相は5年前の施政方針演説から、それまで韓国に対して「基本的価値を共有する」としてきた表現を使わなくなった。今回、久しぶりの復活となったが、再評価したのではなく、むしろ早く「価値観を共有する国」に戻れと言わんばかりだった。

 ただ、一昨年10月に韓国の大法院(最高裁)が元徴用工らを働かせた日本企業に対し、賠償を命じた確定判決を出した直後とは、韓国関連の表現ぶりが様変わりしている。

 徴用工判決の直後には「暴挙」「国際法に基づく国際秩序への挑戦」(いずれも当時の河野太郎外相)と攻撃的な表現が安倍政権内部から相次いだが、最近はもっぱら諭すかのように、約束の順守を呼びかける。

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筆者

箱田哲也

箱田哲也(はこだ・てつや) 朝日新聞論説委員

1988年4月、朝日新聞入社。初任地の鹿児島支局や旧産炭地の筑豊支局(福岡県)などを経て、97年から沖縄・那覇支局で在日米軍問題を取材。朝鮮半島関係では、94年にソウルの延世大学語学堂で韓国語研修。99年からと2008年からの2度にわたり、計10年、ソウルで特派員生活をおくった。13年4月より現職。

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