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「君たちはどう働くか」

世界のビジネス潮流に敏感であれ

塩原俊彦 高知大学准教授

 吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』ならぬ『君たちはどう働くか』という未刊の拙稿が手元にある。大学生に教えているため、彼らにとってこの問いは切実なものだ。

 こんな筆者からみると、「米巨大情報技術(IT)企業に対する反発が大学キャンパスを襲った」という2020年1月11月付のニューヨークタイムズ電子版の記事は日本の大学生や企業経営者に読んでもらいたい興味深いものだった。

強い風当たりを受けるFacebookやGoogle

拡大米議会下院の公聴会に臨むフェイスブックのザッカーバーグCEO=2019年10月23日、ワシントン

 いま米国のエリート校(大学・大学院)の就職希望者のなかでは、Facebook、Google、Apple、Amazonといった巨大IT企業に就職して内部から変革を求めるのではなく、健康・教育・プライバシーに焦点を当てたスタートアップ(新規企業)での仕事を探そうとする動きが増えているというのだ。

 とくに学生から嫌われているのがプランティア(Palantir)という、ビッグデータ分析専門のソフトウェア会社だ。米移民・関税執行局にサービスを提供している同社がそのソフトウェアを使って米国に移民しようとする家族を引き裂いているというのである。

 Facebook、Amazon、Googleに対する風当たりも強い。Facebookは昨年、利用者のデータの取り扱いの誤り(プライバシー侵害)で連邦取引委員会からほぼ50億ドルもの罰金を科された。

 Amazonはニューヨーク市に「第二本社」を置く計画を取り止めたが、それは、地元での大量雇用と引き換えに市と州から30億ドルもの助成金を引き出そうというAmazonのもくろみに住民・地元議員・労組指導者らが反発した結果であった。

 Googleは2018年に検閲済みのインターネット情報だけを表示する中国向け検索エンジン(ドラゴンフライ)の開発計画に対する社内からの反発に直面したり、セクハラ問題で揺れたりした。

 こうした事情から、Facebookの場合、学生の採用受諾率が2018年度の平均85%から2019年度は35~55%に落ち込んだと伝えられている。

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

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