安倍首相、杉田議員……責任を取らない政治の空虚と弊害
責任を引き受け一人ではできない仕事をするのが政治家の醍醐味のはずなのに……
米山隆一 衆議院議員・弁護士・医学博士
「責任をとる」と明言し実行した田中角栄
とはいえ、人から批判されるのは誰にとっても気の重いことであり、何かことが起こったとき、出来ることなら弁解して責任から逃れ、他人に転嫁してしまいたいとは、誰しもが思うでしょう。ことにそれをすることが出来る権力を手にした権力者が、「自分がやったことは自分がやったと認めて批判を引き受ける」、すなわち「責任を取る」ことは、思われているほど簡単な事ではありません。
しかし、「責任をとる」ことが権力者にとって困難であればこそ、適切に「責任をとる」ことは、政治家にとって大きな力になります。
故田中角栄元首相が44歳で大蔵大臣に就任した時、着任の挨拶で次のように述べたことは有名です。

池田勇人第2次改造内閣で大蔵大臣に就任した田中角栄氏。44歳だった=1962年7月18日
「私が田中角栄であります。皆さんもご存じの通り、高等小学校卒業であります。皆さんは全国から集まった天下の秀才で、金融、財政の専門家ばかりだ。かく申す小生は素人ではありますが、トゲの多い門松をたくさんくぐってきており、いささか仕事のコツは知っているつもりであります。
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